Web上で提供される情報が多様化するなか、さまざまな業界のデータをオープン化したうえで、Linked Open Data(LOD)技術を通じて連携する実践が進展しつつある。国内外における図書館をはじめとする書誌情報センターが提供するデータをこれらの情報資源として扱うためにも、書誌情報を共通のモデルで扱えるFRBRモデル及びそれを基盤とする目録規則RDAに注目が集まっている。本研究は新しい書誌情報モデルFRBR及び目録規則RDA化に基づく次世代書誌情報システムの実装モデルを提案するとともに、プロトタイプシステムの構築を通じ、その有用性を検証することを目的としている。 本年度は、昨年度までに構築した著作・表現形の書誌情報システム(WEシステム)と、FRSADに基づく主題情報共有システム(SCシステム)の実現手法、連携手法を検討し、その実装を開発して、実現可能性を示した。 WEシステムとSCシステムの連携には、LOD技術を用いて、相互連携するだけでなく、それら以外のシステムからも応用可能となる。提案手法の詳細は『情報知識学会誌』に投稿し、採択掲載された(26巻3号)。また実装システムはオープンソースソフトウェアとして公開した(Next-L Enju Root)。 実装モデルの提案以外では、FRBR、RDAやFRBR-LRM等の応用実践、唐詩や教科書情報等を対象とした書誌情報のLOD化LOD化に向けた調査検討を進めた。あわせて、現場担当者や図書館システム担当者との情報交換、フィードバックを目的として、隔週で「FRBR&RDA勉強会」を計22回開催し、活発な意見交換を行った。
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