研究課題/領域番号 |
26330367
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研究機関 | 駿河台大学 |
研究代表者 |
杉江 典子 駿河台大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (50383295)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 情報サービス / 公共図書館 / 利用者調査 / 情報探索行動 |
研究実績の概要 |
本研究では,公共図書館が提供する各種サービスや調べるための環境を,一般の利用者がどのように利用して,求める情報に到達しているかを解明することを最終的な目的とする。今回の研究では,公共図書館利用者の情報探索行動に関する量的データの収集,分析方法を確立することを目的としている。 2015年度は,位置情報システムを用いた利用者調査の予備調査と本調査を実施し,翌年度実施予定のジャーナル調査(行動内容の記録)の準備を行う予定であった。位置情報システムを用いた利用者調査については,調査の実施可能な環境を持つ協力館を探すことに時間がかかり実施に至らなかった。しかし2016年3月時点で協力館がみつかっている。 位置を特定するために使用する位置特定技術は,いくつかの候補の中から,電波の精度,使用する機材の性能と価格,協力館の対応可能な環境等に基づき,アイビーコンを使用することになった。使用する機材の選定は,スマートフォン,ipad等のいくつかの機種間で,受信できる電波の種類や取得可能なデータ等を比較しスマートフォン(アンドロイド)に決定した。以上の技術,機材により今年度中に,予備調査と本調査を実施できる目途が立っており,現在,機材を用いた実験を行いながら,予備調査,本調査の実施計画を作成中である。また,ジャーナル調査についても,同協力館で実施できることになっている。 今年度までに行った研究の途中経過については,日本図書館情報学会で研究発表を行った。また結果の一部を学会誌と大学紀要に投稿した。大学紀要についてはすでに掲載されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」にも書いたとおり,調査で使用する位置特定技術は,機材の種類が多く変化も激しいため,何を使用するかを決定するのに時間がかかった。また調査可能な環境を持ち,調査に協力可能な図書館を探すことに時間がかかったために,調査の実施時期がやや遅れている。ただし,調査協力館がみつりかり,使用する機材や手法も概ね決定しており,現在はアイビーコンとスマートフォンを使って,設置方法を検討するための実験を開始ししている。予備調査,本調査ともに年度内に実施の目途が立っている。
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今後の研究の推進方策 |
位置情報の取得方法には,アイビーコンを用いることが決定した。ビーコンを使った利用者の位置情報の取得方法は,2通りの可能性が考えられる。ビーコンを館内に設置する方法と,ビーコンを利用者に携帯してもらう方法である。 いずれの方法を採用するか,ビーコンの数やアンテナ等の設置方法により,得られる位置情報の正確さと,調査の実施しやすさは異なることが予想される。しかし,現時点では,先行研究も存在せず,どちらがよりよいかの判断が難しい。そこで,優先順位を決めて,両方のパターンで予備調査を行い,そのメリット,デメリットを確認した上で,いずれの方法を採用するかを決定する。年度内に,本調査まで終え,年度内に学会発表まで終えることを目指している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年度に実施する予定であった調査が,準備の遅れのために,2016年度に実施することとなった。調査で使用予定のすべての機材を2015年度中に購入することができなかったために,使用額の一部を2016年度に先送りすることとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の主な支出は,調査で使用する機材と学会発表のための旅費である。調査の機材は,電波の送信を行うビーコンと,電波の受信を行うスマートフォン,調査を実施する場である図書館内の設備(PC,ラズベリーパイ,USB wifiドングル,SDカード,電源,ケーブル,ビーコン等)である。機材の比較検討の段階での一部購入しているが,購入できていない機材を2016年度に購入する。また,研究成果の途中経過を,2016 Annual Meeting of the Association for Information Science and Technologyにおいて発表する予定であり,そのための旅費を支出する予定である。
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