平成26年度から平成28年度にかけて,(1)資格教育の内容に関するテキストブックの分析,(2)資格教育を担当する大学教員を対象にした聴取調査と分析,(3)司書教諭を対象にした聴取調査と分析,(4)学校司書を対象にした聴取調査と分析を実施し,(5)分析結果の統合的考察に取り組んだ。具体的には,司書教諭8名ならびに学校司書8名を対象とする聴取調査の結果を文字化して詳細な分析を行い,その分析結果を,テキストブックならびに資格教育を担当する大学教員への聴取調査によって得られた知見を加えて討議し,結果の集約を試みた。 平成28年11月に,文部科学省より高等教育機関に通知された「学校司書のモデルカリキュラム」が,本研究と密接な関係にあることから,平成28年12月以降に,これに対する検討を行うことし,補助事業の期間延長を申請した。それゆえ,平成29年度は,この新しいカリキュラムへと学校司書の資格に対する検討を加えるとともに,当初予定していた研究課題に関する統合的な分析を行い,最終報告書を作成した。 上記(1)から(4)に関する研究成果は,平成26年度から平成28年度にかけて,四つの研究報告で段階的に発表した。平成29年度に取り組んだ,学校司書モデルカリキュラムとの関係については,「学校司書モデルカリキュラムによる養成技能の妥当性に関する研究」と題する論文を,『図書館学』112号(2018年3月)に投稿した。また,研究全体の最終成果に関しては,長崎(平成29年11月25日)と札幌(平成30年2月4日)において研究会を開催して報告するとともに,科学研究費補助金による「デジタル社会における司書教諭・学校司書の研修制度に関する総合的研究」(研究代表者・筑波大学・教授・平久江祐司)と共同で,シンポジウムを開催し(平成29年12月3日),研究成果の普及と深化につなげる活動を実施した。
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