研究課題/領域番号 |
26330372
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
野口 武悟 専修大学, 文学部, 教授 (80439520)
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研究分担者 |
植村 八潮 専修大学, 文学部, 教授 (50646304)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 電子書籍 / アクセシビリティ / 情報資源 / 出版流通 / 図書館 / 障害者 / 情報保障 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、アクセシブルな電子書籍の製作・提供をめぐる海外の動向を把握したうえで、日本国内においてアクセシブルな電子書籍を安定的に製作・提供し得るプロセスをモデル化することである。 当初の研究計画の通り、本研究の初年度である平成26年度においては、アクセシブルな電子書籍に関する海外の動向を調査した。具体的には、ドイツを訪問し、国際的に著名な「フランクフルトブックフェア」に出展していた欧米の出版社等にヒアリング調査を実施した。ドイツやアメリカにおいては、オーディオブックが大きな市場を形成しており、日本とは対照的な動向であった。日本では、図書館等でボランティアベースで製作されているDAISY(デイジー)が、オーディオブックの1つの種類として市販されていたことも特徴的であった。その一方で、電子書籍のアクセシビリティ機能については、ドイツでは必ずしも充実していなかった。オーディオブックで対応すれば十分という認識のようである。アクセシビリティ機能とその向上が法的に求められるアメリカとは異なっていた。ヒアリング調査の結果については、すでに論文化して発表している(「電子書籍・オーディオブックのアクセシビリティに関する海外動向:ドイツ実地調査の結果を中心に」『専修人文論集』96号、2015年3月)。 本研究の2年目にあたる平成27年度には、出版社、システム関連企業、図書館、当事者(利用者)に協力してもらいながら、アクセシブルな電子書籍の製作と提供にあたって考えられ得る複数のプロセスを実証実験し、普及可能なモデルを構築していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度においては海外の動向調査を実施した。研究計画では、ドイツ(ヨーロッパ)のほかにアメリカでも調査を予定していたが、この点は実施できなかった。しかしながら、ドイツの調査の際に、アメリカの動向も把握することができたため、おおむね当初の計画通りに研究を進めることができたと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度から28年度にかけては、当初の研究計画通り、出版社、システム関連企業、図書館、当事者(利用者)に協力してもらいながら、アクセシブルな電子書籍の製作と提供プロセスの普及可能なモデルを構築し、その成果をマニュアル化し発表するとともに、公開シンポジウム等を開催して広く社会に発信・還元していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に実施したドイツ調査の現地の通訳に支払う謝金と、平成27年度実施予定だった実証実験の一部前倒し実施のための消耗品購入のために、科研費の前倒し支払を受けたが、後者の消耗品購入が当初の見込みよりも安くなったため、残金(次年度使用額)が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度の研究計画の一部前倒し実施(実証実験のための消耗品購入)のために前倒し支払を請求した分の一部が残金(次年度使用額)となったものであるので、平成27年度の当初からの研究計画のなかで使用(主に実証実験に必要な消耗品購入に充当)する予定である。
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