研究課題/領域番号 |
26330377
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
鈴木 敦 茨城大学, 人文学部, 教授 (00272104)
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研究分担者 |
菅谷 克行 茨城大学, 人文学部, 教授 (30308217)
鈴木 俊哉 広島大学, 情報メディア教育研究ンター, 助教 (70311545)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 甲骨文字 / 文字同定 / データベース / 殷墟卜辞綜類 / 殷墟甲骨刻辭類纂 |
研究実績の概要 |
2015年度は甲骨拓本資料の画像データのデジタル化を開始した。当初は、代表者所蔵の拓本資料を非接触スキャナおよびフラットベッドスキャナで画像化する工程を想定していた。しかし様々なワークフローを検討した結果、著作権上問題のないものは代表者所属機関内でのアルバイトによる画像化の計画を変更し、外部業者による撮影を実施することした。年度内に撮影は開始できたが、撮影結果の納品は2016年度にまたがる見込みである。 併せて、画像化データから必要な部分を切り出すツールおよびワークフローの改善を進めている。大きな改良点としては、広く流通している影印本や低解像度データを画像分解した位置情報について、原著録などの高詳細の画像にマップするツールの開発がある。現在まだ個別のツールを組み合わせて実施する状況であるが、これにより現時点では原著録のデータを入手できない場合でも画像分解の準備を進められる。 本計画実施中に、再度中国・台湾から甲骨文字の国際標準文字符号化の動きが出てきた。これへの対処のため、本計画で改善した画像切り出しツールを適用してデジタルアーカイブやマイクロフィルム化されている資料から古漢字グリフの切り出しを進めている。この準備状況と成果は情報処理学会ドキュメントコミュニケーション研究会101回研究会で発表された。この成果については原データ所蔵機関からの許諾を得次第、公開としたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通りに進展している。 概要で述べたとおり、デジタル化の工程に関しては当初予定を変更し、外部業者による撮影も部分的に行うこととした。代表者所蔵の資料には、紙質の劣化状況からフラットベットスキャナでは小型の影印本などしか耐えられないとの結論に至った。また、非接触スキャナは資料に対する物理的なストレスは少ないものの、高解像度のスキャンを実施した場合、撮影にかかる時間がかなり長く、また著録のページが大きいために、歪みなく撮影するためにはページごとに細かい機器の調整が必要なことがわかった。これらを代表者所属機関内のアルバイトで進めることは困難と判断せざるを得なかった。以上を受けて、撮影業者によるデジタル化を行うものとしたため、進捗としては計画通りである。
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今後の研究の推進方策 |
本年度検討を進めた画像分解情報のマッピングにより、原著録の著作権保護期間は満了したが、当該資料そのものの購入が難しく、他機関所藏資料の複写などしか入手できないもの(すなわち、原本からのオープンアクセスなデータの作成が難しいもの)の情報も間接的に扱うことができる。そこで、計画終了時に画像そのものは公開できなくても、位置情報などを公開できるよう、作業を進めたい。 成果の公開に関して、代表者所属機関内でのWebサーバ設置を検討したが、昨今のネットワークセキュリティの観点でインタラクティブな機能を提供するための独自のサーバの設置は難しい状況であることが確認された。機械可読な固定データで、機関リポジトリからの公開の可能性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
著録の撮影は年度内に発注し、既に作業を開始しているものの、撮影結果の納品は2016年度にまたがったため
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次年度使用額の使用計画 |
近日中に納品される見込みであり、納品され次第使用する出筈となっている
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