研究課題/領域番号 |
26330378
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
白井 哲哉 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (70568211)
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研究分担者 |
中野 泰 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (20323222)
綿抜 豊昭 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (30211676)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アーカイブズ / 情報 / 公文書 / 民間資料 / 日本近代 |
研究実績の概要 |
平成26年度における本研究の活動は、まず申請計画どおり年度当初に全体会を開催し、年間7回の資料調査会実施日程を決定するとともに、参加メンバーをA:公文書アーカイブズ分析研究領域及びB:民間資料アーカイブズ分析研究流域の2グループに編成した。 前者Aグループは、平成25年度まで実施された調査研究事業(基盤研究(B)「近代近代地方公文書アーカイブズの構造と情報に関する学際的総合研究」)の成果を引き継ぎ、旧砂川村(町)役場公文書群の調査分析に取り組んだ。後者Bグループは、上記の調査研究事業の過程で新たに発見された民間資料群である須崎家文書の整理と調査分析に取り組んだ。須崎家文書は近世砂川村の組頭役を務めた家で約1,000点の公文書群が保存されている。 平成26年度末までの本研究事業の成果は、全体会1回、資料調査会7回、研究発表会(内部)2回、研究成果報告会(立川市教育委員会と共催)1回を実施した。具体的には、Aグループでは学術誌において5本の学術論文をを発表した。Bグループでは、資料整理を順調に進めた。このうち研究発表会及び研究成果公表会の内容は下記のとおりである。 【研究発表会】三野行徳「19世紀の小平地域と北多摩‐小平市史の成果を中心に‐」(2014.8.10)、森脇孝広「砂川闘争から60年‐地域の視点から‐」(2014.9.14)【研究成果公表会】渡部圭一「「行き倒れ」と砂川村」、高江洲昌哉「兵事文書の社会史」(多摩郷土誌フェア関連講演会「砂川村役場文書からみた地域社会」 2015.1.18 立川市女性総合センター)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請時において、本研究は(1)近代日本の旧町村役場が保有した公文書の内容・構造に関する詳細な実態解明、(2)公文書と関連する民間資料の構造・内容に関する調査研究及び実態解明、(3)旧町村役場の公文書と当時の民間資料との相互関係に関する分析及び実態解明の3点を目的として掲げた。 このうち(1)については、平成25年度までの調査研究事業による実績の上に新たな研究成果を加え、平成26年度は「研究実績の概要」に掲げたように多くの研究成果を挙げることができた。(2)については、平成24年度に新発見された対象資料の調査を平成26年度に開始して、整理作業は一定度の成果を挙げた。具体的な分析調査は平成27年度以降となる。(3)については、(1)における研究の成果と(2)における調査研究の進捗及び成果を併せて具体的な展開を図る必要があるので、平成27年度以降に具体的な研究の展開を図る予定である。 以上のように、本研究における現在までの到達度は、ほぼ当初の計画どおりの進捗状況を見せていると判断できる。したがって「おおむね順調に進展している」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究における今後の進展方策について、平成27年度は第一に、研究目的の(2)に関わって、須崎家文書の整理の完了を目指すとともに、資料群の内容分析に着手する予定である。現状でも十分に達成可能と思われるが、万一整理作業の進捗に支障を来す恐れが見られた時は、資料整理のための新たな雇用措置を考えることも視野に入れる。第二に、研究目的の(1)に関わってより詳細な分析研究を推進する予定である。このほか、これまでの研究成果でまだ学術誌等で公表されていない成果内容もあるので、これらの公表についても具体的に検討し、あるいは参加メンバーへの研究成果好評に対する支援を考えていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請段階にて想定されていなかった状況、具体的には研究分担者1名が1年間のサバティカルのため海外出張したことにより、助成金の支出ができなかった。また、遠隔地から参加する研究協力者が校務等の事情により資料調査会の研究会に参加できなかったことも理由に挙げられる。さらに、当初から計画している遠隔地への資料調査について、平成26年度は結果的に論文執筆等に時間をかけたため、各参加メンバーにおいて調査へ向かう余裕がなくなったことも理由の一つである。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、参加メンバーがより円滑に調査研究活動へ参加できようにするため、研究会の回数を増やす。また遠隔地への資料調査及び研究発表について積極的に実施する。サバティカルによる海外出張から研究分担者が帰還したこともあり、平成27年度は平成26年度に比してより活動的な研究を行う所存である。
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