研究課題/領域番号 |
26330378
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
白井 哲哉 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (70568211)
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研究分担者 |
中野 泰 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (20323222)
綿抜 豊昭 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (30211676)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アーカイブズ / 情報 / 公文書 / 民間資料 / 日本近代 |
研究実績の概要 |
平成27年度における本研究の活動は、前年度と同様、まず5月に全体会を開催して年間8回の資料調査会及び1回の研究成果報告会の日程を決定した。そして昨年度に編成した2グループである、A:公文書アーカイブズ分析研究領域と、B:民間資料アーカイブズ分析研究領域にメンバーが分かれて調査研究に従事した。平成27年度末までの調査研究成果については下記のとおりである。 A:公文書アーカイブズ分析研究領域では、前年度に引き続いて、立川市歴史民俗資料館が保管する旧砂川村(町)役場公文書群の調査分析に取り組んだ。また同館が保管する旧立川町(市)公文書群の存在を確認し、目録作成とともに調査分析へ取りかかった。さらに同館が保管する地図資料の中から、昭和30年代作成の旧砂川町都市計画図及び旧立川市都市計画図(どちらも白地図)を確認した。これらの地図は研究成果のとりまとめにおいて重要な参考資料となるので、デジタル撮影及び複製の作成に取りかかった。これらは平成28年度当初に納品予定である。 B:民間資料アーカイブズ分析研究領域では、前年度に引き続いて、近世砂川村の組頭を務めた須崎家文書の整理と調査分析を続行した。また調査の過程で、同家が輩出した須崎芳三郎というジャーナリストの存在を確認した。その後、彼が主筆を務めた『利圀新志』という雑誌の存在を突きとめた。東京大学附属図書館をはじめ所在調査を行ったが発見できなかったところ、古書店から未確認のバックナンバーが多数発見され、研究資料として購入した。 これらの成果につき、立川市教育委員会との共催で2016年1月23日研究成果報告会を開催した。報告内容は下記のとおり(副題略)。冨善一敏「須崎家文書を調べ、残し、活かし、伝える」、三野行徳「『村』の中の『組』」、太田尚宏「幕末期における砂川村八番組の家々と組頭の役割」、堀内暢行「多摩地域出身の知識人」。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
A:公文書アーカイブズ分析研究領域においては、当初予定していなかった旧立川町(市)公文書の調査が可能になり、旧砂川村(町)役場公文書との構造的・内容的比較検討が可能になった。また従来確認されていなかった旧砂川村村役場文書の一部が、旧立川市公文書の中から発見された。これにより新たな資料とデータが獲得されたとともに、今まで蓄積してきた調査分析を推進するに至っている。さらに関係地図の発見により、公文書で表現されている内容を空間的に理解することが可能になった。 B:民間資料アーカイブズ分析研究領域においては、須崎家文書の整理作業において、平成27年9月から開始された立川市史編さん事業の支援を受けることができ、研究メンバーが具体的な調査分析へ取りかかる環境が整った。また、須崎芳三郎と『利圀新志』の発見により、旧砂川村(町)の行政と民間社会の関係を考察する上で非常に貴重なデータを得ることができた。その進捗状況については、平成27年度の研究成果報告会を開催するに至ったことで明らかである。 以上のように、本研究における現在までの到達度は、当初想定した計画を超える成果を生み出しつつあり、次年度の最終成果報告へ結びつくものと思われる。よって「当初の計画以上に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究における今後の推進方策について、平成28年度は最終年度であるので、資料調査会とともに各参加メンバーによる研究報告会を積み重ねて研究の進展を図る。そして年度末には、本研究における調査成果としての資料目録と研究成果論文を刊行する。また平成27年度は、新たな資料の発見に伴う調査分析の途中であったため研究論文及び学会発表を行うには至らなかった。この点で平成28年度は、研究成果の公表についても、関係学会との連携による報告会の開催について検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度の新たな調査研究成果として、旧砂川町及び旧立川町(市)の白地図の発見があった。これらは年度の後半になって発見されたものであり、研究メンバー全体で相談した結果、デジタル画像撮影と複製作成を行って研究分析の資料として活用することを決定した。しかし、発注及び撮影から成果物の納品までに要する時間を考えると,平成27年度中に作成することが困難だったので、この分を次年度に繰り越すことを決定した。
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次年度使用額の使用計画 |
上記理由で述べたとおり、平成28年度当初において旧砂川町及び旧立川町(市)の白地図のデジタル撮影及び複製制作を実施する。これによる残金が出た場合は、年度末に刊行予定の最終報告書刊行にかかる費用へ充当する予定である。
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