研究実績の概要 |
認知要因が対策行動意思に与える影響度を示す「行動生起過程モデル」に基づいて、ヒトがコンピュータウイルス感染下において、認知要因がウイルス駆除行動意思に及ぼす一連の影響過程を検討した。外部からの情報(潜在変数)が、どのような認知や感情を生起させ、それによって対処行動意思を促進させるかが解明することを目的とする。行動意思を直接刺激する認知や感情を生起させるための特定の情報を説得メッセージに組み込むことによって、効果的にウイルス駆除を実施する説得メッセージが作成可能である。これまでの実験及びアンケートにより、メディアスキルが高く、さらにウイルス感染経験があるヒト達(専門家グループ)は、統計的に有意に、対処行動を実施することが分かっていた。そこで、集団的防護動機理論の8つの認知要因に加えて、「ウイルス感染への恐怖感情」要因を仮定した。それら要因に対して、ヒトの持つIT関連の基礎知識、ITスキルさらにウイルス感染の経験が影響して、対処行動意思を決定するという3段階モデルを考えた。これら3つの潜在変数と10個の観測変数の間に成り立つ相関係数を、新たに潜在変数と恐怖感情も考慮し再設計したアンケートにより再調査し、共分散構造分析を利用したモデルのパス解析を行った。モデルの正当性の評価は、適合度指標:GFI, AGFI, CFI, RMSEA, SRMAQを使い、前3つのパラメータが0.9以上、残りの2つのパラメータが0.1以下となるように、モデルの修正を行い、さらに、別データにより評価を行ったらGFI=0.985,, AGFI=0.961, CFI=0.973, RMSEA=0.049, SRMAQ=0.035となり、これまで検討してきたモデルの中で、最も適合度の良いモデルを得る事が出来た。
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