研究課題/領域番号 |
26330386
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
吉開 範章 日本大学, 理工学部, 教授 (30398846)
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研究分担者 |
栗野 俊一 日本大学, 理工学部, 准教授 (30215066)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | リスク認知 / 防護動機理論 / 情報セキュリティ / ネットワーク・コミュニティ / 信頼 |
研究実績の概要 |
コンピュータ・ウィルスに感染し、その事を認知した場合でも、人は対策を取るケースが多くないことが報告されている。その要因を明らかにし、情報セキュリティ対策を促す為の研究を、説得心理学を基礎とする質問紙と実験により、進めている。 ボットウィルスを例にとり、説得心理学を用いてウィルス感染前の状態にPC を復帰させる方法に主眼をおいた対策の研究が行われている。このウィルス対策実行の要因は、その人の価値観や習慣等によって異なり、対策法が国民性に異存する可能性がある。例えばウィルス感染したコンピュータのユーザーに働きかける活動について、日本ではACTIVE が活動を行い、国内ボットウィルス感染率が削減されたという効果が出ている。一方、オーストラリアではAISI が同様の活動を行っているが、この活動に対し懐疑的な意見が多数見られる。そこで、日本の「大学生とオーストラリアの大学生を対象に、ウィルス対策実行の要因を調査・比較し、ウィルス対策に関する国民性による違いについて考察した。その結果、日本人は、効果性認知を刺激すると、比較的容易に、対策実行意思を刺激できる可能性が高い事が分かった。一方、オーストラリアの学生は、感染を通知するメッセージそのもの、および、その情報への懐疑心が強く、説得行為を刺激する為には、日本人以上に難しいことが分かった。 また、人と人との信頼関係の研究が、本プロジェクトには重要であり、地震災害時のボランティア活動を対象に、ボランティ活動を継続して実施する要因の分析、および、その要因を刺激する方法についての検討を、熊本地震現場で活躍中のボイランティア団体と共同で開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に、日本人に適用できる、情報セキュリティのための対策実行意思モデルを元に、日本人とオーストラリアの大学生、総勢200名を元に、アンケート調査を実施し、それぞれの特徴把握ができた。その結果、日本の大学生は、セキュリティ対策を勧めるメッセージを信用し、さらに効果性認知を刺激されると、積極的に対策行動を行なう可能性が高いことが示された。一方、オーストラリアの学生は、コンピュータウイルス感染を知らせるメッセージそのものを信用せず、一種のフィッシング詐欺と疑う傾向が有る事が判明した。DDoS攻撃への対策として、日本では感染情報を用いた説得行為が有効であるが、オーストラリアでは、必ずしも、同じ方法では有効に機能しないことが予想され、何らかの対策が必要であることが分かってきた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでの実験および質問紙データを元に、説得メッセージ、あるいはメディアを試作して、説得メッセージの有効性や、メディアへの不信感に関する仮説の検証を行なう予定である。 特に、オーストラリアの学生に対しても、説得メッセージを信用させるための工夫やメッセージ内容を具体化する。 さらに、農業ボランティアへ参加を推進させる事を目的に、説得メッセージの応用を目指し、熊本のボランティア団体との共同体制を築きながら、研究を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際会議での発表を延期して、アンケートデータの分析に稼働を取ったため、当初の予定よりも支出額が小さくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
国際会議での発表(2回)と共に、ボランティア活動の調査を実施するための活動経費として、使用予定している。
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