本研究の課題は、小学校児童への図書館教育によって児童がどのような学習効果を得られるかを分析し、その結果をもとに学校図書館の学習支援の方法尾を理論的に体型することであった。 平成26年度には、公立小学校1校の協力を得て、小学校図書館における図書館利用教育を全学年対象に試験的に実施したが、効果を分析するに十分なデータを得ることはできなかった。また、参考のため諸外国の学校図書館の動向に関する情報を収集した。 平成27年度には、学校図書館に関する国際ガイドラインの分析と図書館を使った小学校における授業の分析を実施した。国際ガイドラインの分析によって、理想的な学校図書館のあり方を考える上で、日本の学校図書館の先進性と課題を明らかにした。また、小学校における図書館を利用する授業の観察を通して、授業に学校図書館が関与する効果がどこにあるかを分析した。 平成28年度には、小学校における図書館を使った授業や情報教育の授業の分析と、国際ガイドラインに照らし合わせた際の日本の学校図書館がカリキュラム全体に果たす役割の分析を実施した。小学校における授業の分析は、学校図書館を利用した授業、通常の授業の中で体験学習とその資料となる図書を利用した授業、情報モラル教育の授業などを対象とした。これらの研究は、図書館教育や情報教育をカリキュラムに取り入れていく可能性追求には役だったが、今回図書館教育と情報教育を組み合わせて授業に取り入れるまでにはいたらなかった。特に情報教育に関しては、学校におけるタブレット型情報端末の活用が進んでおらず、その効果的な端末の活用のために各教科等における学習デザインを開発することに課題が残された。今回、学校図書館による図書館利用教育と情報教育を融合した有用な方法論を体系化するにはいたらなかったが、いくつかの課題が明らかになり、今後の方向性の示唆を得ることができた。
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