本研究は、ネット上に流通している膨大な数の動画(以下「ネット動画」と呼ぶ)を、さまざまな教育機会で活用するためのプラットフォームを開発することを目的として開始された。開発されたプラットフォームは、申請者らが開発してきたVVC(Value added Video and Communication)を発展させ、それをコアに据えたもので、<VVCプラットフォーム>と呼ばれる。<VVCプラットフォーム>は、ネット(YouTube)から配信されるネット動画に教師や学習者が自由にアノテーションを付与することが可能なソフトウエアである<VVCex>と、<VVCex>によるアノテーションファイルを管理・配信することで教材作成と学習での活用を可能にする<VVCweb>から構築された。 本研究ではさらに、<VVCプラットフォーム>の活用領域として、2領域(メディアリテラシー教育における動画分析とプレゼンテーション教育)を設定し、そこでの試行を通して、システムの実用性の実証を試みた。 メディアリテラシー教育の領域では、動画リテラシーのスタンダードと評価基準を構成し、通常の方法と<VVCex>を用いたときの方法を比較した。その結果、映像の特定の箇所を指示しつつ分析を行うことができることなどの点で<VVCex>の強みを確認することができた。また、<VVCweb>用いたオンラインワークショップの可能性も検討された。また、プレゼンテーション教育の領域では、ネット上にある優れたプレゼンテーションを教材化して、自らがプレゼンテーションを設計・実施・評価する支援を行うツールとしての可能性を検討した。 その結果、効果的な活用が可能となるための条件が満たされる必要があるが、いずれの領域でも、ネット動画を教材化するプラットフォームとして十分な機能があることが明らかとなった。
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