研究課題/領域番号 |
26330402
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
宇野 健 県立広島大学, 経営情報学部, 准教授 (20305783)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 分子グラフィックス / AR / スマートフォン |
研究実績の概要 |
平成27年度は,学生側のインターフェースとなる,スマートフォン向けの分子グラフィックスアプリケーションの開発を行った.昨年度開発したシステムFlashによる分子グラフィックス表示システムをベースとし,単にスマートフォンへの移植をするのではなく,利用者の分子グラフィックス利用のハードルを下げるため,学生側の主としたインターフェースとするモバイル端末と,AR(Augmented Reality)への対応を行った. まず,PCと比べてハードウェア性能が低いスマートフォンで実用的な表示速度を実現するための改善を行った.一例として,球棒模型の表示や回転の際,すべてのパーツを3次元CGで描画すると,表示速度が著しく低下する.そこで,結合の棒のみを2次元のワイヤーフレームとすることで,表示速度の向上を果たした. 次に,AR機能の実装については,Flash用のARライブラリである,Flartoolkitを利用した.これをベースシステムに組み込むことにより,書籍やプリント等に印刷したマーカをWebカメラで写すことにより,実写映像と分子グラフィックスを合成して表示させることを可能とした.これにより,ソフトウェアの操作をすることなく,容易に分子グラフィックスを利用することが可能となった. また,これを様々なスマートフォンやタブレット端末に対応させるため,Windows OSに加え,本アプリケーションのAndroid OSとiOSへの移植を行った.これにより,機種や場所を選ばずに,より身近に分子グラフィックスを利用させることができるようになった. なお,当初の予定では,モバイル端末でのアプリについてもFlashを利用する予定であったが,Flashのモバイル版が開発停止になったことを受け,Adobe AIRを用いて開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度当初に設定した目標は一部達成できていない.理由は,スマートフォンのハードウェア性能により,当初の予想より表示速度が遅く,その改善に多くの時間を要したため.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は,27年度で開発したスマートフォン向けのAR3次元分子グラフィックス表示システムの表示機能の拡張を行う. 現時点では,印刷したマーカを読み取って画面に分子グラフィックを表示するだけの機能しか有しておらず,これに授業や自学習に向けた機能の開発と実装を行っていく.予定しているのは,表示形態の設定機能, 2つ以上の分子を並べて比較する機能,サーバを介したデータの自動アップデート機能などである. 特に,2つ以上の分子を並べて比較する機能については,本アプリケーションの特徴を生かした機能として,単に分子の立体構造を閲覧するだけでなく,互いに比較することによって,その違いなどを視覚的に学習するために開発する. また,サーバを介した自動アップデート機能については,ARのマーカデータと,分子のデータをスマートフォン側にダウンロードさせる機能である.これにより,新しいマーカとそれに対応した分子のデータを,利用者に意識させずに利用させることを可能とする. 上記の機能の実装が完了すれば,学生を対象としたユーザテスト等を行い,アプリケーション問題点のチェックと,その改善等を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が15,889円発生した理由は,消耗品の購入を既存物品の活用で抑えたためである.
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次年度使用額の使用計画 |
旅費として利用する.
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