人工知能技術の進展に伴い,「強い」囲碁プログラムを作ることは比較的容易になった.これを踏まえ,本研究では「人間を楽しませる」ような囲碁プログラムを実現するため,1)相手の強さや好みを推測すること,2)手加減して負けてあげること,3)一方で自然な着手であること,4)多様な戦略を見せること,5)適切なタイミングで着手や投了をすること,6)自然言語で驚いたり褒めたりすること,を目指した.機械学習とモンテカルロ木探索を中心技術として用いることにより,3年間の研究期間内に 5)を除くすべてについて一定の進捗が得られた.本成果は「人間を指導する」ような囲碁プログラムにもつながる意義のあるものである.
|