研究実績の概要 |
本研究では, 平成26年~29年度の4年間に次のような研究項目による実施計画を立てた. ①基盤技術の開発. ②ディスプレイ装置としての性能評価. ③インタラクティブアート作品の制作. ④作品展示による触手の美的動作の検証. 平成26年度は①の基盤技術の開発を中心に, 3自由度軟体アクチュエータと電圧制御回路及び制御プログラムを開発し, 動作確認用の小規模のテスト装置を開発した. 3自由度軟体アクチュエータでは, 形状記憶合金線材のバイオメタルを駆動源とし, シリコンチューブと表面実装型LEDを用いて製造した. 電圧制御回路は, PC側の制御プログラムで電圧変化を制御するのではなく, 電圧制御回路内部で時間変化に沿った電圧変化の制御アルゴリズムを動作させることで, PCの性能に依存しない分散型のシステム構築を行った. 制御プログラムは, C++の開発環境であるopenFrameworksを用い, スライダーなどのGUIを利用して, 効率的に電圧アルゴリズムのパラメータ調整を行えるものを開発した. 動作確認用の小規模の実験装置として9個のアクチュエータを持った装置を開発した. この実験装置では, アクチュエータの動作の確認用であり, センサー情報を介したインタラクティブ機能に関しては平成27年度以降の計画とした. 本研究の成果である9個のアクチュエータの実験装置による動作実験結果をまとめ, 2つの国際会議SIGGRAPH2014, ADADA 2014で発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度(平成26年度)における実施計画の基盤技術の開発のうち, 3自由度軟体アクチュエータと電圧制御回路及び制御プログラムを開発, 動作確認用の小規模のテスト装置について, すべて計画通りに開発が完了している. 実験装置については第二弾として64個のアクチュエータを持った実験装置の開発に取りかかっており, 研究は順調に進展し, 一部については予定の計画を超えた進展もある.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では最終的に1000個程度のアクチュエータの制御を行うことを計画している. 平成26年度の研究結果から, このような多数のアクチュエータを取り扱うためには, アクチュエータの効率的な製造方法, 制御プログラムの分散処理, 電圧制御回路のユニット化を行うことが不可欠であると考えられる. そのため, 平成26年度の基盤技術の開発自体は順調に進展したが, 大量のアクチュエータ製造と制御における最適化を行う必要があり, その場合, 一度設計した回路基板や制御プログラムの見直しを進め, 必要と思われた場合には, 基盤技術の初期段階から見直すことも検討している.
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