研究課題/領域番号 |
26330418
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研究機関 | 金沢美術工芸大学 |
研究代表者 |
中安 翌 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 准教授 (10579783)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | インタラクティブアート / メディアアート / 実体ディスプレイ / 形状記憶合金 / バイオメタル / 軟体型アクチュエータ |
研究実績の概要 |
本研究では, 計画当初, 平成26年~29年度の4年間に次のような研究項目による実施計画を立てた.①基盤技術の開発. ②ディスプレイ装置としての性能評価. ③インタラクティブアート作品の制作. ④作品展示による触手の美的動作の検証.しかしながら,国際会議などでの査読結果や発表経験から,本研究の立ち位置を見直し,最終的な研究のまとめ方として,装置形状のケーススタディとアクチュエータの動きのバリエーションを中心として学術論文を執筆することに方針を変更した.平成27年度以降,②の性能評価よりも③及び④の美的動作の実現を重視して研究を行ってきた. 平成28年度の装置及びプログラム開発では,軟体アクチュエータと電圧制御回路をそれぞれ256個実装した実験装置を制作した.256個実装するためには,制御信号及び電源電圧を効率的に分配する必要があるため,分配基板回路を設計,製造した.制御プログラムでは,256個のアクチュエータ全体で動きの伝搬する表現を生み出すために,C++言語の統合開発環境であるopenFrameworksを用いて,手の動きにインタラクティブに反応する流体シミュレーション結果をもとに実体の動きを制御するシステムを開発した.アクチュエータの動き,先端の光,音を連動させた幻想的な表現を実現した. 本研究は,UIST 2016 Demoに採択され,参加者の投票によってBest Demo Awardsに選出.経済産業省Innovative Technologies 2016に選出,デジタルコンテンツEXPOでの展示.SIGGRAPH ASIA 2016 Art Gallery採択,マカオでの展示.アジアデジタルアート大賞展2016インタラクティブアート部門優秀賞受賞,福岡アジア美術館での展示.ものづくり文化展HAJIME ASAOKA賞受賞と多くの成果をあげることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究での技術開発段階は当初の目標を達成している.3方向アクチュエータを用いて256個実装したシステムも開発済みで,その成果はSIGGRAPH 2014,SIGGRAPH ASIA 2015のポスター採択,UIST 2016 Demo採択(Best Demo Awards),SIGGTAPH ASIA 2016 Art Gallery採択,経済産業省Innovative Technologies採択など,テクノロジーとアート表現の両面で評価を受けた.
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画として,現在実現している3方向アクチュエータを256個実装したシステムをもとに,当初の最終目標であった1000個以上のアクチュエータの制御システムを実現するため,アクチュエータ,制御回路,制御プログラムについて一から見直す.本研究の初期段階としての技術開発は目標を達成しているが,アクチュエータの数を増やすことは,装置の大型化,システムの複雑化を伴うため,より小型化した基板,効率化されたシステムの再設計が必要である.平成29年度はこれらシステムの大幅な見直しに力を入れる.さらに,当初計画を超える目標として,これまでに実現したアクチュエータの平面への実装ではなく,立体形状への実現についても実験を行なっていく.その成果は,国内学会,国際会議での採択を目指す.開発技術に関する特許出願も目標とする.
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次年度使用額が生じた理由 |
残額は813円であり、少額である。当該年度は計画通り進めることができたと考える。
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次年度使用額の使用計画 |
総額に影響しない残額であるため、次年度も計画通り進める。
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備考 |
ものづくり文化展HAJIME ASAOKA賞,経済産業省Innovative Technologies 2016 UIST 2016 Best Demo Awards,アジアデジタルアート大賞展2016インタラクティブアート部門優秀賞
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