研究課題/領域番号 |
26330423
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
三浦 昭 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (40280557)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 3Dコンテンツ・アニメーション / 宇宙科学 |
研究実績の概要 |
据置型PCにおいて可視化ツールを実現するにあたっての諸々の検討を行った。エントリモデルのPCにおいてもOpenCLがサポートされるようになっており、CPUのみではなし得なかったパフォーマンスの向上が期待できるようになった。OpenGLのみならず、GPGPUを持ちいたレイトレーシングもインタラクティブな可視化に適用可能であることを確認した。 衛星等の位置・姿勢データ等の工学データのインタラクティブ可視化ツールのプロトタイプを作成した。現時点で位置・姿勢データは、SPICEカーネルの他に、フリーの3DCGソフトであるPOV-Rayと互換のカスタムフォーマットの読み込みに対応しており、公開されている「はやぶさ」や小惑星イトカワ等の位置・姿勢データを用いてその妥当性を検証した。また位置推定等の基本的なライブラリを作成し、可視化ツールと連動して位置推定が可能であることを確認した。これらの推定データは、POV-Ray対応のフォーマットで書き出す仕様としており、高品質のレイトレーシングを用いた映像製作に供することも可能となっている。 X線天文や太陽地球物理学関連の衛星データについても、簡易のデータ処理用ライブラリを保守し、3次元空間に描画可能であることを確認した。 これらのライブラリ群は、GUI等を司る環境依存のソースと、デバイス等に依存せず共通に用いることができるソースとに分離して作成し、後々、他のデバイスに移植する際にもそのコストが低くなるよう配慮している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
据え置き型PCで可視化ツールを実現するにあたっての条件調査については、OpenGLやOpenCLを併用することにより、CPUのみのソフトウェア処理と比較してインタラクティブ性を高められることを確認した。 科学衛星や小惑星等の位置・姿勢データ等、工学データの可視化について、「はやぶさ」をサンプルとして各種機能を検証した。インタラクティブな可視化ツールで閉じることなく、フリーのCGソフトに対応したフォーマットで読み書きする機能を実装することで、高品位の3D CGとの互換性も実現可能としている。 3D空間の描画ツールについては、科学データに依存するソースと共通に利用できるソース等を極力分離することで、天文や太陽地球物理等、様々なデータの3D描画が容易になるよう配慮している。また様々なプラットフォームでソースを共用できるよう、共通性の高いソースはC++を基本とした構成としている。レイトレーシングで用いられるVoxel分割は、位置推定等のデータ解析にも応用可能である等、描画の範囲を超えたメリットも確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
まず据置端末での動作検証を行う。種々の入力方式についての利便性等について検証する。この段階では、CPU、メモリ、OpenGLのハードウェア描画等も、高性能なリソースが得られることを前提とする。また安価なCPUでもGPGPUの恩恵に預かれるものが多く、GPGPUの活用も進める。 衛星運用支援の補助の観点では、「はやぶさ2」の軌道データの可視化を視野に入れて、先行して仕様策定が進められているデータフォーマットに則って、データ取得用ライブラリ等の構築を行う。この分野ではセキュリティ等の制約もあるため、データ授受の方法については、引き続き検討を行う。 続いて、可視化ツールをモバイルデバイスに展開するにあたっての調査・検討を行う。アプリケーションの仕様等は、近い将来に想定されるモバイルデバイスの性能・機能に基づいて検討するものとする。調査の結果に基づいて、可視化手法の選別や、補助的な手段の導入等を検討する。 モバイルデバイスの環境調査や可視化手法の検討結果等に基づいて、種々のモバイルデバイスでの共用が可能になるようにモジュールを開発する。主眼に置くデバイスは、プラットフォーム間の互換性が比較的高いと思われるiOS系デバイスとする。Windows系デバイスやAndroid系デバイスにおいてもソースを共有することが可能となるよう、C++ベースのライブラリを中心に据える。 広報・アウトリーチ活動にも展開できるよう、さらなる3D技術の導入を検討する。ヘッドマウントディスプレーや、全天周ドームへの応用も想定しつつ、費用対効果等の観点も踏まえつつ適切な技術導入を検討する。平面映像もさることながら、全天周映像向けの立体視画像をインタラクティブに作成するツールについても、並行して検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定の製品が納期未定となったため、年度内の購入を見送った。当該製品については、当面は評価版等で代替措置をとったため、研究の進捗に影響は無かった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度購入予定であった製品もしくは相当機能の製品について、改めて納期確認の上、購入予定である。
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