研究課題
2014年2月に地上型レーザスキャニング(Terrestrial Laser Scanning; TLS)によって既に取得済みのデータを用いて、水面下データ取得における、計測センサからの距離および角度の影響を検証した。その結果、センサの位置を高く設定し水面へのレーザの入射角を大きくした場合に、取得データ密度が増して河床地形データの精度が上がることが明らかになった。また、センサの設定を変えて計測を行ったデータを解析し、設定で密度を高くして計測しても、得られたデータの精度が向上しないことを明らかにした。河道の水深の深い場所ではデータ欠損が起こりやすく、白波の立っている個所では水面からデータが反射してしまうこと、河道のカスケード部分では水面下データの補正が難しいことを明らかにした。さらに、一個所につき複数方向から計測を行ったデータを用いて、それらのデータを統合した場合の精度検証を行い、複数方向から計測したデータを統合した場合に河床地形データの精度が上がることを確認した。これらの研究成果を2014年9月に行われたSPIE Remote Sensing国際学会で発表し、さらに2015年4月のEuropean Geoscience Union国際学会でも発表予定である。山地河道で効果的に河床地形のTLS計測を行う方法をまとめ、現在、専門誌に投稿中である。これまでの成果を踏まえてより良いTLSデータ取得方法を確立し、得られたデータの応用を検討するため、2015年2月に、再びTLSによる山地河道の河床地形計測を行った。検証用データとして、TLS計測と同時にGNSS計測や測量を含む現地調査を行った。
2: おおむね順調に進展している
これまで不可能であった水面下の河床地形を詳細かつ定量的に計測することにおいて、TLSの利用可能性を見極めるためには、データの精度検証、効果的な取得方法の確立および得られたデータの利用・応用方法の提示が必要である。このうち、本年度はレーザデータの精度検証を主に目的とし、レーザデータ計測2回、水深、流速、計測センサからの距離および角度の影響の検証、一方向および複数方向からのデータ取得の検証、検証用データとしての現地調査、得られたデータのノイズ除去方法の確立を実施計画に掲げたが、ノイズ除去方法の確立以外は、これまでに達成している。
平成26年度で確立できなかった、ノイズ除去方法について引き続き検討するとともに、今年度の目標であるデータ欠損個所の補完方法について検証を行い、前年度の結果と合わせて山地河道における包括的な河床地形データ取得方法を確立する。次年度に計画している、得られた河床地形データの山地河道における利用・応用方法の提示に向けて、可能であればTLS計測を今年度に行う予定である。
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Proc. SPIE 9239, Remote Sensing for Agriculture, Ecosystems, and Hydrology XVI
巻: 9239 ページ: 92391D-92399
doi:10.1117/12.2067143