研究課題/領域番号 |
26340002
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
田口 茂 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 名誉教授 (80089838)
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研究分担者 |
倉光 英樹 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 教授 (70397165)
波多 宣子 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 准教授 (90134999)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ホルムアルデヒド / 大気汚染 / シミュレーション |
研究実績の概要 |
平成26年度以来,富山市と近隣地域,札幌市などで行った有害な化学物質であるホルムアルデヒド(HCHO)の大気中濃度の日変化の調査結果をまとめ,さらに,日変化のシミュレーション法を考案した。 【調査結果のまとめ】場所や季節に寄らずHCHO濃度は日の出後日射量の増大とともに上昇し,正午付近で最大となり,日没に向けて減少した。日没後も徐々に減少し,翌日の日の出から同様の変化が繰り返された。日変化の要因は日射量であった。また,濃度の季節変化が明瞭であり,夏季に高く,冬季に低かった。日射量と気温が主要因であった。 【結果の解析】メタン(CH4)の光化学反応によってHCHOが生成し,HCHOは光化学反応や他の物質による酸化等によって消失するという反応速度モデルを考案し,日変化をシミュレーションする方法を構築した。大気パラメータ(日射量,気温,CH4濃度)は絶えず変化するので,設定した時間内で(今回は1時間)各パラメータは一定として,その時間内でのHCHOの生成と消失の差の蓄積濃度を測定濃度とする日変化のシミュレーション式を考案した。富山市および札幌市におけるシミュレーションは晴天の日において(季節の異なる9調査)実測とよく一致した。季節変化もこのシミュレーションで説明できた。 【成果の重要性】大気汚染レベルの低い地域では日射強度,気温,CH4濃度によってHCHO濃度が決まること(バックグランド濃度と言える)を実証できた。HCHO濃度レベルの高い地域の測定結果からバックグランド濃度を引くことによって,人間活動や植生による影響を知ることができると考える。また,温暖化の進行やメタン濃度の上昇,日射量の増大がHCHO濃度に及ぼす影響を推定できるようになった。 【研究成果の公表】第58回大気環境学会年会においてこれまでの成果を発表した。現在,大気環境に関する国際的な専門誌へ投稿中である。
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