本研究は、我が国の湖沼への人為起源エアロゾルの影響を古陸水学的手法により明らかにするため、中央から西南日本に位置する5つの山岳湖沼を対象に、堆積物を採取して年代測定を行い、過去100年にわたる低次生産者の変動を再現すると共にその変動要因について、化石燃料燃焼由来の球状炭化粒子・窒素同位体比の測定、気象・集水域環境の既存資料を含めて解析を進めた。その結果、これまで研究の空白域であった九州地域の小田の池でも1990年代以降、プランクトンおよび球状炭化粒子の濃度が増加していることが判明し、我が国の山岳湖沼は広範囲にわたり、大気からの負荷影響で低次生産者が大きな影響を受けている可能性が明らかとなった。
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