研究課題/領域番号 |
26340015
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
大浦 健 名城大学, 農学部, 准教授 (60315851)
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研究分担者 |
濱本 博三 名城大学, 農学部, 准教授 (40365896)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 塩素化多環芳香族類 / 環境動態 / 発生源解析 / GC/MS / ClPAHs / PAHs |
研究実績の概要 |
高塩素化多環芳香族類の環境動態解明に向けて、本年度は高塩素化多環芳香族類の標準物質の合成を行った。母核となる多環芳香族類としては、4~5環系のフルオランテン、ピレン、ベンゾaピレンの3種を選定した。塩素化反応はN-クロロコハク酸イミドもしくは塩化スルフリルを用いて既成の方法にて行った。反応終了後、再結晶ならびにHPLCを用いて純度95%以上まで精製し、標準試料とした。このとき、ピレンからは3塩素化体と4塩素化体が、またベンゾaピレンからは2塩素化体と3塩素化体が新たに得られた。一方、フルオランテンの塩素化体は3~5塩素化体が合成されたが、それぞれの異性体が多数存在したため、HPLCにて4塩素化体のみを分取した。これら新規合成した塩素化多環芳香族類を既存の標準品と混ぜることによって、24種の塩素化多環芳香族類の一斉分析が可能となった。また本年度は、この標準物質を用いて、GC/MSによる最適な分析条件ならびに前処理方法を明らかにした。つぎに、塩素化多環芳香族類の環境分析として、名古屋市5地点における大気汚染調査を実施した。この結果、何れの地点からも多環芳香族類は検出されたが、塩素化多環芳香族類に関しては、主に3~4環系の1塩素易化体が検出された。さらに、塩素化多環芳香族類の大気汚染を日本各地、韓国、中国で実施した結果、何れの地点からも塩素化多環芳香族類が検出されたが、その組成比は各地点で異なる結果となった。このことは、塩素化多環芳香族類の発生源は地域によって異なることが示唆される。今後塩素化多環芳香族類の発生源解明に向け、更なる環境データの蓄積が必要であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目標であった塩素化多環芳香族類の標準品は概ね順調に合成されたが、一部は完全に分離することができず、次年度も引き続き合成を行うことになった。また、塩素化多環芳香族類の環境分析は大気試料で実施し、各地点による汚染状況の違いを明確に示すことができた点については満足している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は大気試料の採取を全国規模で実施し、日本における汚染分布の把握に努める。また、環境分析を大気、土壌、底質試料だけではなく、生体試料も加え、環境間の物質移行についても検証する予定である。
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