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2014 年度 実施状況報告書

精子幹細胞の放射線による細胞死誘導の分子メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 26340021
研究機関京都大学

研究代表者

森本 裕子  京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (90540097)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード放射線 / 細胞死 / p53 / 精子幹細胞
研究実績の概要

(1)p53ノックアウト(KO)マウス由来精子幹細胞の細胞死誘導の確認:精子幹細胞(SSCs)及び生殖幹細胞(GSCs)においてp53遺伝子KO又はノックダウン(KD)すると放射線照射による細胞死が減少した。
(2)pumaKO由来精子幹細胞の細胞死誘導の解析:GSCs,多能性生殖幹細胞(mGSCs)およびマウス胚性繊維芽細胞(MEF)においてpuma遺伝子をKDすると放射線照射による細胞死が減少し、puma遺伝子を導入すると細胞死を誘導した。
(3)GSCsにおけるTnfsf10-Tnfrsf10b経路の細胞死誘導の解析:放射線照射後のGSCs培養液の上澄みにはTNFRSF10BのリガンドであるTNFSF10が大量に含まれていた。この上澄みを照射していないGSCsに加えると細胞死を誘導した。放射線照射後のGSCsではTnfrsf10b遺伝子の発現が増加し、Tnfrsf10b遺伝子をKDすると放射線照射による細胞死が減少した。しかし、GSCsにTnfrsf10b遺伝子を導入しても細胞死を誘導しなかった。
(4)Trp53inp1によるTnfrsf10b誘導の解析:GSCsにおいてTrp53inp1遺伝子をKDすると放射線照射による細胞死が減少した。GSCsにTrp53inp1遺伝子を導入するとTnfrsf10bの発現が増加し、KDすると放射線照射後のTnfrsf10bの発現が低下した。しかし、GSCsにTrp53inp1遺伝子を導入しても細胞死を誘導しなかった。
(5)Trp53inp1及びTnfrsf10b KOマウス由来精子幹細胞の細胞死誘導の解析:SSCs及びGSCsにおいてTrp53inp1又はTnfrsf10b遺伝子をKO又はKDすると放射線照射による細胞死が減少した。GSCsにおいてTrp53inp1又はTnfrsf10b遺伝子をKDすると化学物質が原因で生じる細胞死も減少した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本年度の研究計画で予定していた以下の2項目についてはそれぞれ確認及び解析作業が完了した。(1)p53ノックアウト(KO)マウス由来精子幹細胞の細胞死誘導の確認、及び(2)pumaKO由来精子幹細胞の細胞死誘導の解析
本年度はこれらに加えて以下の項目を実施した。(3)生殖幹細胞(GSCs)を用いた放射線に対する細胞応答の解析
また、放射線照射による細胞死誘導に関与する遺伝子(Trp53inp1, Tnfrsf10b)を見出した。
更にTrp53-Trp53inp1-Tnfrsf10b 経路が細胞死誘導に重要である事を見出した。

今後の研究の推進方策

平成27年度以降の研究計画において以下の2項目を予定していた。(1)生殖幹細胞(GSCs)を用いた放射線に対する細胞応答の解析、及び(2)精子幹細胞の放射線耐性に関わる新規ターゲット分子の同定。(1)については既に解析が完了している為、(2)を実施する。
先ず、野生型とp53ノックアウト(KO)マウス由来のGSCsに放射線照射を行い、mRNAを回収してマイクロアレイを実施する。マイクロアレイの結果から野生型GSCsで誘導され、p53KOマウス由来のGSCsでは誘導されないmRNAに着目し新規ターゲットの候補分子とする。
新規ターゲット分子の同定には、第一段階としてshRNAを発現するレンチウィルスを用いてGSCsに遺伝子を導入する事でスクリーニングを行う。第二段階としてレンチウィルスによる遺伝子導入で候補遺伝子の発現を抑制したGSCsに放射線を照射し、その後不妊マウスの精巣内に移植する。これにより放射線を照射後に生存している細胞が幹細胞である事を確認する。更に必要であればKOマウスも利用する事で標的遺伝子を確定する。

次年度使用額が生じた理由

海外に発注した試薬の到着が遅れた為。

次年度使用額の使用計画

海外に発注した試薬が到着次第支払いを行う。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件)

  • [雑誌論文] Functional Differences between GDNF-Dependent and FGF2-Dependent Mouse Spermatogonial Stem Cell Self-Renewal2015

    • 著者名/発表者名
      Takashima S, Kanatsu-Shinohara M, Tanaka T, Morimoto H, Inoue K, Ogonuki N, Jijiwa M, Takahashi M, Ogura A, Shinohara T
    • 雑誌名

      Stem cell Reports.

      巻: 4(3) ページ: 489-502

    • DOI

      doi: 10.1016/j.stemcr.2015.01.010

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Improved serum- and feeder-free culture of mouse germline stem cells.2014

    • 著者名/発表者名
      Kanatsu-Shinohara M, Ogonuki N, Matoba S, Morimoto H, Ogura A, Shinohara T
    • 雑誌名

      Biology of Reproduction

      巻: 91(4):88 ページ: 1-11

    • DOI

      doi: 10.1095/​biolreprod.114.122317

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] The Trp53-Trp53inp1-Tnfrsf10b pathway regulates the radiation response of mouse spermatogonial stem cells.2014

    • 著者名/発表者名
      Ishii K, Ishiai M, Morimoto H, Kanatsu-Shinohara M, Niwa O, Takata M, Shinohara T
    • 雑誌名

      Stem cell Reports.

      巻: 3(4) ページ: 676-689

    • DOI

      doi: 10.1016/j.stemcr.2014.08.006.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり

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公開日: 2016-05-27  

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