研究課題
1)細胞死誘導時のMUTYHタンパク質複合体の解析 これまでの解析ではMUTYH と9-1-1複合体との相互作用は確認できなかったので、平成28年度に細胞抽出液の調整法やDNA損傷の条件を検討して解析を行ったが、他の研究者により報告されているような相互作用は確認できなかった。MUTYHは酸化ストレス負荷された細胞内ではDNA polymeraseδと相互作用するが、ある種のDNA polymeraseδ変異体とは相互作用しないことを見出した。この結果はDNA polymeraseδが酸化ストレス負荷による細胞死誘導に重要な働きをしている可能性を示唆する。2)酸化ストレス誘発時のMUTYHとPCNAとの相互作用の解析 酸化ストレスを負荷された細胞では短時間に一過性のPCNAのモノユビキチン化 (mUb-PCNA) が起こることが報告されている。mUb-PCNAとMUTYHとの相互作用を検討するためにFLAG-MUTYHを発現させた細胞を1mM H2O2処理1時間後に細胞抽出液を調整して解析したところ、H2O2処理によるmUb-PCNAの顕著な生成は認められなかった。面白いことに、本研究で作製したMSH2変異体では未処理でもmUb-PCNAの生成が亢進しており、H2O2処理ではmUb-PCNAの増加しないことを見出した。現在、酸化ストレス誘発細胞死との関連を検討している。3)酸化ストレス誘発時のMUTYHとMMRとの相互作用の解析 リンチ症候群で見出されるMSH2変異体をCRISPR/Cas9を用いて作製したヒト細胞にF-MUTYHを発現させて50 mM KBrO3および0.2mM H2O2処理後、MUTYHとMutSalphaとの相互作用を検討した。その結果、変異体細胞では、酸化ストレスによるMUTYHとMutSalphaとの相互作用が生じないことが明らかになった。
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