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2014 年度 実施状況報告書

立体構造にもとづいた損傷乗り越え複製DNAポリメラーゼ・イータの機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 26340028
研究機関学習院大学

研究代表者

横井 雅幸  学習院大学, 理学部, 助教 (00322701)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード損傷乗り越え合成 / DNA損傷 / 紫外線 / Polη
研究実績の概要

研究実施計画に基づいて以下の項目について研究を進めた。第一に、ヒトPolηとその出芽酵母ホモログであるRad30との立体構造レベルの比較から、ヒトPolηに特徴的なアミノ酸の置換変異および部分アミノ酸欠失変異を導入したヒトPolη変異体の発現と精製、さらにDNA合成活性、DNA結合活性、損傷乗り越え合成活性の評価を行った。その結果、アミノ酸点変異体についてDNA結合活性、DNA合成活性、損傷乗り越えDNA合成活性を調べることができ、当初の目的とした基礎情報の収集がかなった。一方で、欠失型変異体については可溶化に問題が生じたことから、タグの種類を変更する準備を進めた。第二にヒトPolη変異体を発現する細胞を樹立し、それらの紫外線に対する感受性からヒトPolηが単独でTLSを行うことが可能な反応におけるアミノ酸置換変異ならびに欠失変異の影響を調べた。その結果、紫外線損傷応答でのヒトPolηの機能に重要なアミノ酸を複数明らかにすることができた。一方で、シスプラチン等のDNA傷害剤が及ぼす影響の解析については次年度以降に持ち越すこととした。第三に、ヒトPolηと相互作用するタンパク質の探索を行い、予定通りマススペクトル解析に供するサンプルを多数得た。これらは、次年度以降に解析を行う予定である。第四として、ヒトPolηのW297変異体のヌクレオチドによる活性阻害試験を行った。様々なヌクレオチドアナログを用いた解析の結果、W297とdATPの特異的な相互作用が、ヒトPolηと基質DNAとの過度な親和性を回避する機構が示唆された。この結果を踏まえ、次年度以降にはW297変異体ヒトPolηを発現する細胞のDNA傷害剤に対する感受性を調べる予定である。このほか、次年度以降に行う予定であったヒトPolηの活性を特異的に阻害する物質の探索に向け、アッセイ系の確立と予備的実験を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度の研究開始に先立って準備を進めていたこともあり、当初の予定通り進展しているといえる。しかし一部の変異体について組換えタンパク質の可溶性が問題になる等、全体の計画遂行への影響は少ないものの、若干の軌道修正をした箇所もあった。一方で試験的な段階ではあるが、相互作用タンパク質の探索と活性阻害試験において次年度以降への試金石と成りうる結果も得られている。全体的に評価すると、「②おおむね順調に進展している」と評価できる。

今後の研究の推進方策

第一に、初年度に得た各変異体の生化学的解析から得られる基礎情報と細胞レベルでの解析で得られた情報との統合を進めていく。具体的にはヒトPolηのDNA損傷応答機構での役割とその制御にかかわる分子を特定することを目標とする。そのためには、ヒトPolηと相互作用する分子の特定が重要であると考え、マススペクトル解析を積極的に進める予定である。第二に、ヒトPolηの特異的阻害剤のスクリーニングを開始する。幸いに、初年度にハイスループットなアッセイ系のめどが立ったことと、すでに化合物ライブラリーの入手についても他研究機関との調整が順調であることから、全体を通して、当初の研究計画の変更等の必要はない。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] UV-induced mutagenesis in epidermal cells of mice defective in DNA polymerase η and/or ι2015

    • 著者名/発表者名
      Kanao, R., Yokoi, M., Ohkumo, T., Sakurai, Y., Dotsu, K., Kura, S., Nakatsu, Y., Tsuzuki, T., Masutani, C., Hanaoka, F.
    • 雑誌名

      DNA Repair

      巻: 29 ページ: 139-146

    • DOI

      10.1016/j.dnarep.2015.02.006.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Remarkable induction of UV-signature mutations at the 3'-cytosie of dipyrimidine sites except 5'-TCG-3' in the UVB-exposed skin epidermis of xeroderma pigmentosum variant model mouse2014

    • 著者名/発表者名
      Ikehata, H., Chang, Y., Yokoi, M., Yamamoto, M., Hanaoka, F.
    • 雑誌名

      DNA Repair

      巻: 22 ページ: 112-122

    • DOI

      10.1016/j.dnarep.2014.07.012.

    • 査読あり
  • [学会発表] Roles of mammalian DNA polymerase η and ι UV-induced mutagenesis.2014

    • 著者名/発表者名
      Hanaoka, F., Sakurai, Y.,Yokoi, M.
    • 学会等名
      3R Symposium
    • 発表場所
      御殿場
    • 年月日
      2014-11-18
  • [学会発表] アミノ酸置換変異体を用いたヒトPolηの機能解析2014

    • 著者名/発表者名
      横井雅幸
    • 学会等名
      国立遺伝学研究所研究集会
    • 発表場所
      三島
    • 年月日
      2014-11-07
    • 招待講演
  • [備考] 学習院大学 花岡研究室

    • URL

      http://www-cc.gakushuin.ac.jp/~20080213/

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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