本申請計画の当初の最終年度であった平成28年度に所属機関が変更したことでヒトPoletaの構造的特徴と機能面での相関を検討する実験に遅れが生じたが、延長を認められた期間で、懸案であったヒトPoletaのアミノ酸点変異体の調製と試験管内DNA合成の解析を実施することができ、構造と機能の相関について一定の理解を得ることができた。また、立体構造から他の因子との結合が予想され、かつ細胞内での局在に影響を与えるヒトPoletaの領域と結合する複数の因子を質量分析法によって新たに同定することができた。その中には二本鎖DNA切断の修復に関わる因子やクロマチン構造変換に関わる因子などが含まれ、今後、ヒトPoletaの生理的機能を明らかにする上で貴重な知見になると期待している。さらに、ヒトPoletaのintrinsic disorder領域であるC末部分と結合することを明らかにした脱ユビキチン化酵素USP11について、Poletaの各種欠失変異体との相互作用実験からさらに結合部位の絞り込みができ、加えてUSP11のサブファミリーとの結合実験から結合特異性についても確認ができた。 以上の結果から、最終年度の当初の計画はおおむね予定通りに実施することができたと評価した。
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