原爆被爆者の放射線関連肺がん発生の分子機序は未だ不明である。近年、未分化リンパ腫キナーゼ (ALK) 融合遺伝子 (例、EML4-ALK) が散発性肺腺がんで報告され、我々は原爆放射線に被曝した甲状腺乳頭がん症例において ALK 融合遺伝子を観察している。本研究では、ALK 融合遺伝子が放射線被曝によるヒト肺がん発生に関連するか検討した。放射線による肺腺がん発生に ALK 融合遺伝子が関与する証拠は得られていないが、原爆被爆者保存肺腺がん組織を用いて ALK 融合遺伝子を解析する一連の方法とヒト肺由来細胞株における X 線照射後の EML4-ALK 誘導を評価する実験系を確立することができた。
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