研究課題
本課題では、脳発達における甲状腺ホルモン(TH)及びTH受容体(TR)の機能を解析し、近年疾患概念として注目されてきたdevelopmental origins of health and disease (DOHaD)を含めた予防及び,治療に利用するための基礎研究を行うことを目的とする。THは協調運動・多動・認知・記憶・学習といった脳機能と密接に関連した脳部位の発達に重要で, (1) 4 nonyl phenol (4-NP) 及びPerfluorooctane sulfonate (PFOS)や天然ホルモン様物質の脳発達期への作用の解析,DOHaD解析,及びスクリーニング系の構築を含めた解析, (2) 甲状腺機能低下モデル動物を用いたTH機能の解析及び,環境化学物質の感受性,及び性差に関わる解析,(3) 近年同定した新規cofactorsの解析を中心とした臨界期形成機序の解析を行う予定であった。本年度における成果としては,PFOSに関してしてはiodothyronin deiodinaseのmRNA発現及び活性を抑制することにより小脳発達を抑制し,この影響は周産期におけるPFOSの暴露が成獣期の小脳機能の抑制に関与することが分かった。新たに大豆ポリフェノールのdaidzein及びgenisteinの解析を行い,TRを介する転写の活性化及び,脳発達に影響を及ぼすことが分かった。ガドリニウムの入った造影剤により,TRを介する甲状腺ホルモン作用がかく乱されることが分かった。(2)に関しては平成27年度までに研究を終了している。(3) 同定済みのbrain-deraived repressive molecule (B-ReM)については転写を抑制することが分かっている。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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