研究課題
活性酸素種のうちヌクレオチドやタンパク質脂質を修飾して機能に影響を与えるヒドロキシラジカルに注目して研究を行った。ヌクレオチドのうちグアニンにヒドロキシラジカルが作用すると 8-オキソグアニンができて、突然変異や変異タンパク質が生成される。生体への影響のうち、8-オキソグアニンを含むRNA(酸化RNA)が過剰に蓄積することによるアポトーシスが誘導されるかを明らかにする実験を行ってきた。まず、酸化RNAの分解に必要な遺伝子を同定することを目的として実験を行ってきた。平成28年度で明らかにしたのは以下のことである。平成27年度までに、早川らによりRNA中の8-オキソグアニンに結合するものとしてAuf1が同定されており、酸化RNAの分解とアポトーシスにAuf1が関わっていることが示唆されていた。Auf1欠失株に過酸化水素を作用させ細胞死が起こるかみたところ、HeLaS3由来のAuf1株では、細胞死が抑制される傾向がみられた。さらに、DNAの鎖切断が通常の培養条件でもみられた。そのため、Auf1欠失により酸化RNAが増加し、酸化ストレスが細胞で誘導され、細胞死を抑制するメカニズムが誘導されたことが示唆された。HeLaMR由来のAuf1欠失株では細胞死の抑制が見られなかった。このことからHeLaMR株にはAuf1の代わりになる遺伝子が働いていることが示唆された。次いで、酸化ヌクレオチドの細胞内での働きを解明するために、大腸菌を用いて活性酸素種を測定する系を確立した。そのために、8-オキソグアニンを含むヌクレオチドを分解する活性のある遺伝子を利用した。
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