研究課題
すでに、polychlorinated biphenyl (PCB)による血中サイロキシン(T4)濃度の低下は、肝臓へのT4の蓄積量の増加に起因していることを明らかにし、このT4濃度の低下作用メカニズムを新規セオリーとして提唱した。本研究では、新たに提唱した血中T4濃度低下作用メカニズムの本質となるT4の肝臓への蓄積メカニズムの実体を解析するために、T4の肝臓への取り込み、排出に関わるトランスポート機構を明らかすることを試みた。今回、[125I]T4のマウス肝実質細胞への取り込みについて検討した。マウスの肝実質細胞への[125I]T4の取り込み量は、T4濃度の増加とともに増加したものの、その取り込みに飽和はみられなかった。また、KC500を処置したマウスの肝実質細胞における[125I]T4の取り込み量はコントロール群と同程度であり、[125I]T4の取り込みのVmax値、Km値ともにKC500処置による変化は見られなかった。さらに、肝臓における甲状腺ホルモン輸送に関連するトランスポーターのmRNAの発現量について検討を加えた。KC500処置したマウス肝臓の有機アニオン輸送ポリペプチド、Oatp2のmRNAの発現量は、24および96時間に、multidrug-resistance-assosiated protein、Mrp3のmRNAの発現量は、96時間に有意に増加した。一方、L型アミノ酸トランスポーター、LAT1、LAT2およびMrp2のmRNA発現量は変化しなかった。また、ハムスターおよびモルモットではいずれも、KC500投与により、肝臓のLAT1のmRNA発現量に有意な変化は見られなかった。以上の結果は、KC500投与後のラットにおける結果と異なり、マウス、ハムスター、モルモットにおける肝臓へのT4の移行量の増加の機序については、さらに追究する必要がある。
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