本研究では、新たに提唱した血中サイロキシン(T4)濃度低下作用メカニズムの本質となるT4の肝臓への蓄積メカニズムを解析し、ラットにおいてpolychlorinated biphenyl (PCB)による肝実質細胞へのT4の取り込み量の増加には、肝臓のT4のトランスポーター、LAT1およびOatp2の mRNAの発現量の増加が、また肝臓からT4の抱合体の排出には、Mrp3 mRNAの発現量の増加が関与している可能性を示唆した。今後、ヒトを含む多くの動物種のPCBによる血中甲状腺ホルモン濃度の低下作用発現メカニズムを解明するために、さらに研究する必要がある。
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