研究課題/領域番号 |
26340046
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
中井 里史 横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 教授 (70217644)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 疫学研究 / 大気汚染 / 濃度予測 / 曝露評価 / GIS |
研究実績の概要 |
昨年度、暫定的に横浜市のデータを用いてプロトタイプのLUR(Land Use Regression)モデルを構築したが、データの取り扱い等にやや疑義のある結果となってしまった。そのためあらためてLURモデル構築法等の整理を行うとともに、GISへの展開を検討した。具体的には、方法論上の検討を行うとともに、土地利用情報、人口、各測定局データ(座標、標高)、最近接道路距離・日交通量、円形バッファー内道路延長、円形バッファー内日走行量を整理した。さらには、構築するLURモデルの妥当性検討のために、逆距離加重法による常監局(一般局のみ)測定濃度の空間補間を検討した。 また、LURモデルのPM2.5への展開を図ることを目的として、常時監視測定局等データの蓄積の多いSPM濃度とPM2.5濃度との関連性を探り、各地のSPM濃度でPM2.5濃度を代替できるかどうか、課題等は何かを検討するとともに、LURモデルで得られたPM2.5濃度をどのように疫学研究に組み込んで行くかを検討することを目的として屋内外のPM2.5濃度測定を行い、大気環境学会にて成果を報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定では、平成27年度までに基礎的なモデルの構築、さらにはGIS上に一通り展開することまで終了する予定であったが、初年度のモデル構築結果の検討やさらなるデータの整理、さらには検討領域の一番端領域のデータの取り扱いに関して思いのほか時間を要し、LURモデルで重要となるGIS上への展開ができていない。そのため、研究の進行が遅れ気味であることは否めない。 一方で、本研究を進める上で必要不可欠となる各種データの入手は十分にできた。そのため近いうちに、最終モデル作成やGIS上への展開も含めて、当初目的までを達成することは可能と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
遅れているLURモデルのGIS上への展開をまず実施する。その上で、他モデルとの比較や視覚的側面からの検討を用いて構築したLURモデルの妥当性を検討する。本研究そのものは、既存データを用いての検討に終始しているが、実測データを用いた検討が必要であることを既往研究は指摘している。そのため、LURモデルの妥当性が検討でき、今後の発展性があると判断できるような状況であれば、今後の研究方針、特に実測を絡めた、また多地域、多時点への展開方法についても検討していく。 さらには、学会発表などを通して意見交換を行い、実際の疫学研究において用いることができるのか、課題や展開可能事項は何であるのかを整理する。最終的には、わが国におけるLURモデル構築例、方法論上の検討などについて論文化し、成果を公表する。
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