研究課題/領域番号 |
26340048
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
道上 義正 金沢大学, 環境保全センター, 准教授 (90190678)
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研究分担者 |
神林 康弘 金沢大学, 医学系, 講師 (20345630)
中村 裕之 金沢大学, 医学系, 教授 (30231476)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 慢性咳嗽 / 大気粉塵 / 遷移金属 / 咳 / 眼のかゆみ / 一般化推定方程式 |
研究実績の概要 |
11月から毎日ハイボリュームエアサンプラーを用いて大気粉塵(総浮遊粒子状物質:TSP)の捕集を行った。TSPの重量(大気中濃度の計算に使用)の測定とTSPに含まれる遷移金属の分析を行い、金沢市におけるTSPやTSPに含まれる遷移金属の推移のデータを得た。12月末からハイボリュームエアサンプラーにインパクターを装備し、微小粒子状物質(PM2.5)の捕集も行った。PM2.5の重量の測定とPM2.5に含まれる遷移金属の分析を行い、金沢市におけるPM2.5やPM2.5に含まれる遷移金属の推移のデータを得た。次年度の6月までに得られるデータと合わせて解析を行う。 TSPに含まれる遷移金属と慢性咳嗽(気管支喘息、咳喘息、アトピー咳)患者(大人)の咳症状や眼のかゆみとの関連について解析し、論文として投稿した。統計解析は一般化推定方程式を用いて行った。年齢、性別、BMI、気温、湿度、降雨量、SO2濃度、スギ花粉濃度、ヒノキ花粉濃度を用いて補正した。カルシウム、カドミウム、クロミウム、鉄、マンガン、鉛と眼のかゆみに有意な関連が認められた。この有意性は、補正後も認められた。カドミウム、クロミウム、鉄、マンガンと咳症状に有意な関連が認められた。これらの関連性は、クロミウム以外は補正後でも有意であった。血清IgE濃度(250 IU/mL)で慢性咳嗽患者を2群に分けて、遷移金属の患者症状への影響を検討した。血清IgE濃度の低い群のほうが、目のかゆみや咳症状に遷移金属の影響を受け易かった。血清IgE濃度の高い方が、アレルギー症状が強いと考えられる。アレルギー症状が低い患者のほうが、症状が弱く、遷移金属の影響を受けやすいことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TSPの捕集に加え、PM2.5の捕集も開始した。これらに含まれる遷移金属の分析を行い、金沢市における大気汚染物質の推移のデータの蓄積を行えた。 大気粉塵中遷移金属の慢性咳嗽患者に対する影響に関する解析は遅れ気味だが、一報の論文が雑誌に受理された。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、TSPとPM2.5の捕集と遷移金属の分析を継続する。 大気粉塵中遷移金属の慢性咳嗽患者に対する影響にどのような因子が関与しているか検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
生じた次年度使用額は少額であり、次年度の研究費とまとめて使用したほうが、効率が良いため。
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次年度使用額の使用計画 |
大気粉塵の捕集や遷移金属などの分析に使用する消耗品に使用する。
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