サンゴ石灰化に対する海水のpH低下の影響に関する研究を行った。沖縄のサンゴ礁及び実験室でサンゴをpHを変えた海水中で飼育した結果、石灰化速度(R)と飽和度(Ω)の間には、R = k(Ω-1)の関係が成立することが明らかになった(k:速度定数)。石灰化機構は1次反応に規定される。海水アルカリ度(2.3 mmol/kg)から計算したΩを上式に代入すると、R値は1800年の値に対して、2017年は80%、2100年は57%と計算できる。したがって、本研究から得られた化学シミュレーションに照らして、サンゴ石灰化速度は産業革命以前に比べて現在は約20%、2100年には約40%以上減少する可能性がある。
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