研究課題/領域番号 |
26340059
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
風間 ふたば 山梨大学, 総合研究部, 教授 (00115320)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 窒素除去 / 水素酸化脱窒 / 複合的脱窒 / 機構解析 / マイクロバブル |
研究実績の概要 |
世界的にも地下水中の硝酸イオン濃度が高い地域は多く、飲用のための処理方法が必要である。特に開発途上国では、エネルギー消費が少なく運転や維持管理が容易な方法が望まれている。水素酸化脱窒は独立栄養細菌による脱窒反応であり、有機物添加が不要なことから浄水処理への適用が検討されてきた。しかしこの処理系内に従属栄養細菌などが共存すれば、より効率的な脱窒が可能であると考えられ、事実多くの研究者が複合的な脱窒の可能性を指摘している。本研究は、水素酸化脱窒リアクター内に出現する複合型脱窒プロセスの機構を、水質分析、ガス分析、微生物群集構造解析から明らかとし、その知見を基に開発途上国適用型で効率的な運転装置の開発を行うことを目的とする。 この目的に沿って、本研究では 1.水素酸化脱窒反応が生じている微生物付着担体挿入型反応槽の運転条件を意図的に大きく変化させることで生じるレスポンスを、水質分析とガス分析ならびに微生物群集構造解析により明らかとすること、2.マイクロバブル発生装置を用いて水素ガスの供給を行い水素ガス供給方法の違いが脱窒にどのように影響するかを明らかとし、効率的なリアクターを作成することとした。 本年度は昨年度と異なる形状(トール型)の反応装置を用いて、水素ガスのマイクロバブル注入と通常のエアストンによる注入方法との比較検討を行うとともに、水素酸化脱窒装置内に共存する従属栄養細菌による脱窒の実態把握を試みた。マイクロバブルを用いることで水素ガス利用効率を格段に上げることができた。また反応槽内には従属栄養細菌による脱窒も確かに存在しているが、水素ガス供給量によってその寄与率は変化すると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイクロバブルによる水素ガス供給の特性について、水素ガス溶解速度の向上と気泡残留時間の長期化によるガス供給中止後の比較的高濃度の溶存水素の保持を定量的に把握できるようになった。また水素ガス供給量による従属栄養細菌の脱窒への寄与も定量的に明らかとなりつつあり、装置設計に役立つ因子がそろってきた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は当初の計画どおり、開発途上国に適用できるリアクターの設計と試作、その長期運転による性能評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費の支出において当初の計画より学生の参加者数が減ったため残金が出た
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、当初の計画通り、微生物群集解析用ならびに微生物培養用試薬類、日本水環境学会への旅費(熊本開催の予定)ならびにクローン解析謝金に使用予定である。前年度の残金は、当初の予定に比べて学生の学会参加者が3人から4人に増加することが予定されるため、学会参加旅費にあてたいと考えている。
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