本研究は次亜ハロゲン酸を排水中のハロゲン化物イオンの電解酸化によりオンサイトで供給する電解光化学促進酸化処理プロセスの構築を目指すものであり,(1)排水中での次亜ハロゲン酸電解生成影響因子の評価,(2)次亜ハロゲン酸の光分解促進酸化プロセスの開発,(3)光分解後の残存ハロゲン酸化物除去装置の開発,(4)副生成物の生成特性の評価,という4つの課題に取り組んだ。 (1)については,次亜塩素酸の電解生成用の無隔膜電解フローセルを製作し,ハロゲン化物イオン濃度,電極面流速,電流密度が次亜ハロゲン酸の電解生成に及ぼす影響を評価した。その結果,ハロゲン化物イオン濃度85.5 mM,電極面流速20 cm/sの条件において,電流密度27.5 mA/cm2以上の範囲で電流効率80%以上を安定して維持できることを明らかにした。 (2)については,消費電力20Wの低圧水銀ランプを装備した容量7.5 Lのステンレス製光化学反応器と有効電極面積18.15 cm2の酸化イリジウムアノードとチタンカソードを有する電解フローセルを組み合わせた電解光化学反応器を製作し,その処理特性を評価した。その結果,運転時のpHが処理能力に大きな影響を与え,pH6.5以下を維持することで高い促進酸化効果を得ることが可能であった。また,薬剤不要のpH制御システムを開発し,その有効性を明らかにした。 (3)については,合成した分解触媒では十分なハロゲン酸化物分解効果は得られなかったが,紫外線分解処理については一定の効果が見られ,(4)と組み合わせることで,処理水中残存ハロゲン酸化物濃度の低減が可能であることを明らかにした。 (4)については,副生成物として塩素酸の生成状況を調査した結果,pH上昇とともに塩素酸の蓄積が生じたが,pHを6.5以下に制御することにより,塩素酸の蓄積を数分の一に低減できることが明らかにした。
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