本研究は、ディーゼルエンジンの吸気や燃料に反応促進物質を添加し、燃焼を促進させることによって、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)を同時低減することを目的としている。 最終年度の平成28年は軽油にジメチルエーテル(DME)を添加させた混合燃料を用いた実験を行った。コモンレールを用いた燃料高圧供給方式では、高圧ポンプや電磁弁により燃料が高温となり、DMEが気化し、安定した運転ができなかった。そこで、燃料タンクをDMEの蒸気圧以上に加圧し、機械式噴射ポンプを用いて、燃料の温度を上げることなく供給させる方法で実験を行った。この結果、安定して運転でき、DMEを15wt%混合した燃料が最もNOxとすすの同時低減に効果があった。 効果の要因を解明するため、ディーゼルエンジンの圧縮時での温度圧力の条件下で噴霧燃焼を確認できる燃焼容器により観察を行った。噴霧に関しては、DMEを混合した燃料の方が噴霧の広がりが大きくなった。燃焼においては着火遅れが短くなり、容器内圧力も上昇した。よって、DMEを混合することにより燃焼が促進されていると考えられる。 これまでの研究で、吸気または燃料にDMEを添加する方法どちらも簡単な改造で実施でき、NOxとPMの同時低減に効果があることを確認した。特に燃料に添加する方法は低減の効果が大きかった。吸気にオゾンを添加する方法では、添加量がわずかであったため明確な効果は得られなかったが、着火・燃焼が促進されていることが確認できたので、添加量を増やせば排気ガス浄化の効果が期待できる。今後は、基礎燃焼実験や数値解析により、効果の要因をさらに詳細に解明する。
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