研究課題/領域番号 |
26340067
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
チャン ヨンチョル 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30422025)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 寒冷地 / 炭化水素 / アルキルフェーノル / Penicillium / DGGE / Gene |
研究実績の概要 |
提出した平成26年度の研究実施計画に従い、以下の2項の実験を行った。 (1)炭化水素の分解微生物(CHY-2株)由来の分解関与遺伝子および分解特性検討 (2)低温域での炭化水素分解菌のスクリーニング まず、北海道の山吊(大雪山など)を中心とした地域から採取した土壌試料を用いて炭化水素分解能を確認した。また、炭化水素としては、標準品を用いて分解の可否や程度について検討した。用いた標準品は直鎖アルカン(飽和炭化水素C数)としてオクタン(C8)、デカン(C10)、ドデカン(C12)およびエイコサン(C20)、分岐アルカンとして2,2,4-トリメチルべンタン、脂環式炭化水素として1,6-ジメチルシクロヘキサンとn-ブチルシクロヘキサン、芳香族炭化水素としてエチルベンゼンとn-ブチルベンゼンであった。炭化水素分解能が確認できた土壌試料の中から15℃で最も優れた分解能を示した菌株の分離を行い、計8株の菌株の単離に成功した。現在、分離株の同定および分解特性について検討を行っている。一方、CHY-2株の分解関与遺伝子を確認するために、真菌の代表的な三種類の酵素であるシトクロムP450ヒドロキシラーゼ、リグニンペルオキシダーゼ、バニリルアルコールオキシダーゼについて検討を行なった。まず、遺伝子の増幅のため、ヌクレオチドプライマーを設計した。さらに、ゲノムDNAとmRNAをCHY-2株から単離した。cDNAはmRNAから合成し、検討対象となる三種遺伝子の増幅に用いた。その後得られた遺伝情報をもとにBLAST検索を行った結果、バニリルアルコールオキシダーゼをコードする遺伝子は、Penicillium chrysogenumのゲノムと完全に一致し(GenBank:AM920427.1)、残りの二つの遺伝子は、Penicillium以外の真菌類と一致したことが分った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究目的である炭化水素分解関与遺伝子の解明や低温域での炭化水素分解菌のスクリーニングについて有用な結果が得られていること、また炭化水素分解菌のスクリーニングに成功していること、さらに群集構造解析に必要な実験方法の確立ができたことから研究は当初の計画に照らしてみておおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、分離菌株の分解特性の把握と共に、分解関与遺伝子の解明を続ける。また、微生物の増殖、フェノール性物質生産可否、根圏酵素活性を検討し、植物と微生物の相関関係を把握していく予定である。現在、ファイトレメディエーションに用いる植物種の選定のため、成長が速い寒冷期遺存植物群(フサザクラ、シロバナショウジョウバカマ、タニギキョウ、アマナ、カタクリ、ニリンソウ、キクザキイチリンソウ、エンレイソウ、ヒメニラ)の購入を完了し、炭化水素添加および非添加の両条件における微生物の分解能および微生物群集構造の解析を行っていく方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定の試薬の値段が4616円を超過したため、次年度予算と合わせて購入することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度予算と合わせて必要だった試薬の注文を完了した。
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備考 |
公開用研究者データベースRD-Soran http://rd-soran.muroran-it.ac.jp/search/index.html
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