1)Penicillium sp. CHY-2株由来MnPの精製および特性評価 CHY-2株由来のMnPは精製され、SDS-PAGE分析とゲル濾過クロマトグラフィー分析の結果からMnPの天然型がダイマーの立体配座を有することが示唆された。精製MnPの至適および温度はpH 5.0および30℃であった。Mn 2+ を基質とした反応速度パラメータ分析の結果から、精製MnPの高い触媒反応効率が示唆された。さらに、精製MnPによりn-デカン、4-BPおよび4-tert-ブチルフェノールは有意に分解され、精製MnPがCHY-2株によるこれらの化学物質の分解に関与している可能性が高いと考えられた。 2)今後の展望 本研究ではPenicillium sp. CHY-2株を汚染現場に適応するための基礎的な知見の収集を目的として研究を行い、Penicillium sp. CHY-2株の分解特性や汚染浄化処理を効率化するための最適分解条件を示すことができた。しかし、今回得られた基礎的なデータだけではCHY-2株による難分解性化学物質の分解に関する情報が不足している。したがって、より詳細な分解メカニズムの解明のために今後さらなる研究が必要である。具体的には、土壌培地による分解試験、植物との相互作用の確認試験、スケールアップ液体培地および土壌培地による分解試験、CHY-2株の遺伝子解析、CHY-2株の難分解性化学物質の分解関与酵素の精製および特性評価などの項目である。さらなる詳細な分子メカニズムの解明の先に、Penicillium sp. CHY-2株を低温域における汚染現場に適応するという最終的な目標があると考えている。
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