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2014 年度 実施状況報告書

新規バイオサーファクタントによる塩素化エチレン汚染の拡散防止と修復の加速化

研究課題

研究課題/領域番号 26340070
研究機関岐阜大学

研究代表者

高見澤 一裕  岐阜大学, 応用生物科学部, 名誉教授 (00159005)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードバイオサーファクタント / テトラクロロエチレン / 塩素化エチレン / 活性汚泥 / シンクロトロン光 / X線吸収微細構造
研究実績の概要

今年度は、新規バイオサーファクタントの構造決定と機能把握に関する基礎的研究を行った。
高濃度のテトラクロロエチレン(PCE)に長期間馴養した活性汚泥は、PCEを好気的条件で減少させることが分かった。さらに、菌体除去後のろ液でもPCEを0.61 mg減少させた。したがって、PCEの減少が活性汚泥のフロックや微生物への吸着ではないこと、活性汚泥中の微生物の生成物質がPCE減少に関与していることが示された。このろ液を熱処理や活性炭処理するとPCE減少が認められなかった。また、このPCE減少に関与する物質はタンパク質様物質であった。分画分子量3.000の限外ろ過液においてもPCEが減少したことから、分子量3,000以下の低分子のペプチド様物質であると考えられた。PCEの分解産物は各種GC(FID、MS、TCD等)やイオンクロマトなどでは検出できなかったが、シンクロトロン光によるX線吸収微細構造解析の結果、C-Cl結合が切断され、塩素原子が共有結合ではなく、イオン状態での存在が確認され、新たなPCE分解機構の存在が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度の計画は、新規バイオサーファクタントの構造決定と機能把握である。構造決定については、分画、精製して分子量3000以下のペプチド様物質であることまでは達成できたが、構造解析には至らなかった。その原因として、原材料である活性汚泥ろ液の供給が不十分であると考えられ、全体の系を大きくして大量のろ液を集める方法を検討している。機能把握の一つとして、シンクロトロン解析で、C-Cl結合を切断し、塩素原子が共有結合ではなくイオン状態として存在することが示唆された。したがって、おおむね順調であると判断した。

今後の研究の推進方策

最終的な構造決定に至るためには、試料を大量に供給できるように系を大きくした培養実験の構築が要となる。それ以外は、当初計画通りに、バイオサーファクタントによるテトラクロロエチレン類の乳化作用をゼータサイザーを用いて、特に温度の影響を検討する。また、表面張力低下作用を、油膜として原油を用い、既存の界面活性剤と比較しながら行う。

次年度使用額が生じた理由

予定していた学会発表を中止したため、旅費相当分が残金となった。

次年度使用額の使用計画

消耗品費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 活性汚泥由来微生物によるテトラクロロエチレンの分解2014

    • 著者名/発表者名
      大野勝也、中村浩平、高見澤一裕
    • 雑誌名

      環境技術

      巻: 43 ページ: 357-365

    • 査読あり

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公開日: 2016-05-27  

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