研究課題
大気中の微量物質の濃度や振る舞いを評価・予測する大気質動態モデルは、大気汚染問題の解決にとって重要なツーツとなりつつあるが、同種のほとんどのモデルが、大気中PM2.5の質量濃度、特に、有機エアロゾルの質量濃度を大幅に過小評価する問題を有することが知られている。本研究では、大気中PM2.5質量濃度のモデル予測精度を向上させることを目的としている。H27年度は、粒子二次生成エアロゾルメカニズムを実装した領域大気質数値モデル(Community Multi-scale Air Quality (CMAQ) Modeling System v5.01)を導入して、東アジアスケール~関東スケールのモデルシステムを構築・整備し、テスト計算を実施した。以前のバージョンのモデルと比較して、PM2.5濃度のモデル予測値の増加が確認できた。有機エアロゾルに関しては、観測データとの比較を行うために、観測データの整備を行った。さらに、シミュレーションには、昨年度構築を開始した、自然植生起源の排出量の推計モデルの出力を利用した。H27年度後半に、化学スキーム、エアロゾルスキーム、および、VOC排出量の分類が更新された新バージョンのモデル本体(CMAQ)の利用が開始されたので、今後、こちらを東アジアスケール~日本スケールに適用する。
3: やや遅れている
H27年度は、前年度に改良・構築した排出量インベントリを、本研究にて利用するモデルシステムに直接に利用できる排出データ形式に整え、テスト計算まで終了している。しかしながら、実施年度途中に、本研究にて利用しているモデル本体の大幅な改良・更新が行われた結果、本研究にて、今後、最新のモデル本体の利用、システム移行の必要性が生じたため。
昨年度後半より利用開始となった最新の大気質モデル本体を利用した東アジアスケール~日本スケールのモデルシステムを構築、シミュレーションを実施する。モデル本体の更新が必須であるために、やや作業が遅れているが、連続計算の時期や期間を再考し、1-2週間程度の連続計算を行い、既に整備している観測データを用いた再現性評価を行う予定である。
該当年度は、追加作業等が大幅に増えたために予定していた学会での発表、および、参加を見送った。
当該年度に予定していた国際学会での研究発表を次年度行う予定である。
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Atmospheric Environment
巻: 122 ページ: 349-356