研究課題
本研究では中国ホルチン沙地の修復技術の開発を目的として、現地でアルファルファの栽培試験を行っている。2015年春に内モンゴル自治区通遼市モリビョウ村南の沙地に現地品種Ohanを直播した。多年生低木のアルファルファは2016年春に再び芽を出し、順調に生育した。試験地を16区画に分け、2016年8月に一区画につき5地点、0-15 cmの深さより土壌試料を採取し、理化学性を測定した。また、アルファルファの草丈を各区画で30個体測定した。さらに、16区画に対角線で1m2のコドラートを8つ設け、収量調査を行った。2015年と比較して、2016年に土壌のpH、ECは低く、含水率、全炭素、全窒素、および有効態P含量は有意に高かった。アルファルファの草丈の平均値は72.5 cmで、昨年の値の倍以上であり、また収量は内モンゴルの各種草原と比較して約5~50倍の11.5 t/haであった。収量は土壌の全窒素含量と有意な正の相関を示し、マメ科植物であるアルファルファの窒素固定によると考えられる。土壌の一般理化学性を用いて主成分分析を行ったところ、主成分1はpH(KCl)、EC、含水率、全炭素、全窒素、有効態Pと高い正の相関を示し、土壌養分に関連する主成分であることがわかる。主成分2はC/Nと高い正の相関を、全窒素と高い負の相関を示したことから、窒素含量に関する主成分であると考えられる。2015年と比較して、ほぼ全ての区画で土壌の全窒素量が増加していたことから窒素固定の効果が顕著に出ていると推察される。これらのことから、アルファルファ栽培によって沙地土壌の養分状態が改善されていることがわかった。アルファルファは2015年より個体の草丈が大きくなっており、収量は内モンゴルの各種草原より多くなっているので、今後継続して栽培を行うことでさらなる土壌の改善が見込めると考えられる。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
Acta Agriculturae Scandinavica, Section B ― Soil & Plant Science
巻: 1 ページ: -
DOI: 10.1080/09064710.2017.1281433
アグリバイオ
巻: 1(5) ページ: -
Bioremediat Biodegrad
DOI: 10.4172/2155-6199.1000347