研究課題/領域番号 |
26340082
|
研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
舘 秀樹 地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (60359429)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 粘着・接着技術 / 易剥離 / リサイクル / マイクロカプセル / ダブルトリガー |
研究実績の概要 |
熱酸発生剤を内包した高分子マイクロカプセルと酸分解型粘着剤を組み合わせることで、耐熱性を有し、かつ、超音波や加熱などの2つの外部刺激によって易剥離可能な機能性粘着剤の開発を実施してきた。 昨年度までに、以下の3点について達成している。 ・50~150℃の低温で酸発生可能な熱酸発生剤および熱酸発生剤を内包させた高分子マイクロカプセルの作製 ・超音波照射により高分子マイクロカプセルより発生する酸の具視化 ・上記と粘着剤の組み合わせによる、80℃1時間の加熱に対する耐熱性の確保 本年度は、さらなる耐熱性向上を目指し、100℃1時間の耐熱性を有する易剥離可能な機能性粘着剤の開発を試みた。ポリカーボネートを用いて高分子マイクロカプセルを作製した。耐熱性の高いポリカーボネートを高分子マイクロカプセルの外皮に使用することで、大幅に耐熱性が向上し、120℃1時間の加熱にも充分に使用可能な高耐熱性高分子マイクロカプセルの作製に成功した。このマイクロカプセルは、従来のものと同様に、超音波照射により内包する熱酸発生剤を放出することを確認した。また、熱酸発生剤を選択することで、熱と超音波の2つの外部刺激によって2段階での剥離が可能となり、ダブルトリガー型易剥離粘着剤として利用可能であることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究申請書に基づき、以下の2点について研究を進め、当該年度の目標を達成することができた。 (1)反応性と保存安定性を有する粘着剤の開発 (2)ダブルトリガー方易剥離粘着剤の開発と評価
これまでに開発した易剥離粘着剤は、80℃1時間の耐熱耐久性を有することがわかっている。また、超音波と加熱による2段階の外部刺激を与えることで、粘着強度が大幅に低下することも見出している。さらに耐熱性を向上させるために、構成要素である高分子マイクロカプセルの材料を検討した結果、大幅な耐熱性および耐久性の向上に成功した。次年度に、更なるデータの追加、ベース粘着剤の耐熱性向上、粘着剤の機能性向上を行い、実用化を見据えた性能向上を目指す。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、予定通り、(1)反応性と保存安定性を有する粘着剤の開発、および(2)ダブルトリガー方易剥離粘着剤の開発と評価を進め、さらなる性能向上を目指す。80℃1時間の耐熱耐久性を有する易剥離粘着剤および耐熱性を向上させた高分子マイクロカプセルの作製が可能でることに加え、現在、耐熱性を向上させたベース粘着剤の開発に取り組んでいる。さらなるデータの追加、粘着剤の機能性向上を行い、性能向上を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
他の業務との兼ね合いから、当初予定していた学会へ参加できず、旅費およびその他経費の残額が生じた。生じた残額は物品費として使用したが、予定外であったためさらに残額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
残額は、次年度、旅費およびその他経費として使用する。
|