熱酸発生剤を内包した高分子マイクロカプセルと酸分解型ウレタンを組み合わせることで、耐熱性を有し、かつ、超音波や加熱などの2つの外部刺激によって易剥離可能な機能性粘着剤の開発を実施してきた。 本研究では、次の5点について達成した。1.分解性モノマーを利用した、強粘着タイプの酸分解型ウレタン粘着剤の作製と評価。2.50~150℃にて酸発生可能な熱酸発生剤を内包させた高分子マイクロカプセルの作製方法の確立および最適化。3.超音波照射により高分子マイクロカプセルから発生する酸の可視化および半定量。4.超音波照射により粘着剤中で発生した酸の確認。5.80℃までの耐熱性を有する超音波照射で易剥離可能な粘着剤の開発および評価。 最終年度は、2つの外部刺激(熱と超音波)と分解(易剥離)との関係を詳細に調べるとともに、100℃以上の耐熱性を有する粘着剤の開発を実施した。その結果、120℃で使用可能なポリカーボネート外皮を有する耐熱性高分子マイクロカプセルの作製、フッ素含有ビスフェノールA骨格を有する従来の分解性モノマーよりも耐熱性に優れた分解性モノマーの開発を実施し、それらを組み合わせた機能性粘着剤を作製し、耐熱性の向上を実施した。本研究により、開発した機能性粘着剤は、熱と超音波の2つの外部刺激によって2段階での易剥離が可能であり、耐熱性を向上したダブルトリガー型粘着剤として利用可能であることが明らかとなった。
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