参加協働型モニタリング(CBM)による成果の施策反映への道筋や、ソーシャル・キャピタルを高めるための道筋を検討するため、以下のように研究を展開した。 1.スマートホン(以下,スマホ)を用いて、沖縄県金武町億首川のマングローブ林の状況を撮影し,UAVで撮影した高解像度オルソ写真によって,被写体の位置情報を補正できるスマホ調査システムを開発した。そして、地元エコツアー会社のカヌーインストラクターとスマホ調査を試行した。その結果、UAV とスマホの GPS 機能を活用したスマホ調査の結果,若木が維持されている場所,マングローブが枯死している場所,マングローブ以外の陸生植物が侵入している場所が簡便に記録できることが明らかとなった。本手法はスマホさえあれば調査が可能であり、再生事業による森林の復元状況を把握する手法として有効であることが確認された。 2.徳島県海陽町の海岸マツ林において、UAVで撮影した空中写真、GPS、GISを用い、CBMとして立木管理を行うための台帳づくりを地域住民とともに試行し、有効性を確認した。 3.京都市内の残存林(里山)、徳島県海陽町の海岸マツ林、沖縄県金武町のマングローブ林のモニタリング及び保全・管理に係る協働マネジメントの仕組みを参与観察等によって把握し、比較した。 これらの結果から、協働調査を施策に反映させるためには、調査設計当初から行政担当者を事務局に加えておく必要があること、また、マングローブのように目標生物が資源化されていて、かつ、管理課題が明確であるような場合にはそれらがインセンティブとして働き、協働調査・管理がスムーズに実施できることが確認された。
|