研究課題/領域番号 |
26340097
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
叶 榮彬 岩手大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60431459)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 再生エネルギー / 持続可能システム / 環境発電 / 薄膜二次電池 / 薄膜太陽電池 |
研究実績の概要 |
環境発電(エネルギー・ハーべスティング)は、身の回りにある光や熱、振動、電波のエネルギーを電気エネルギーに変換し、電池やケーブル等による電力供給を必要とせずに機器等を駆動させる技術である。本研究では、環境発電を活用するためのフレキシブル薄膜二次電池・太陽電池の複合エネルギーデバイスを開発する。(1)薄膜二次電池の開発では、現有の技術で正電極薄膜(LiMn2O4)と負電極薄膜(Nb2O5)の厚さの最適化により、薄膜電池の容量は、約35uAh/cm2まで向上した。基板の両面を薄膜二次電池の積層により、薄膜電池の容量は、約50 uAh/cm2が得られた。さらに、Nb2O5薄膜の電気化学特性を評価し、Nb2O5の単位体積容量が、膜厚さを増加すると減少した。これは、Liイオン拡散律速であることが分かった。(2)正極LiCoO2を用いた薄膜二次電池の開発では、異なる温度で熱処理したLiCoO2薄膜をXRD評価により、熱処理温度500℃で単一ピーク(104 )の配向薄膜が得られた。電気化学特性の評価により、500℃熱処理したLiCoO2薄膜は、放電容量と安定性ともに良い結果が得られた。さらに、この薄膜を用いて、薄膜二次電池を製作し、充放電特性を評価した。放電容量は、約45uAh/cm2が得られた。(3)新規電解質の開発では、LiSiPOを各条件の下で成膜し、LiSiPOの表面・断面をSEMで評価し、スパッタ電力80Wで一番良い薄膜が得られた。イオン伝導度を評価して、今まで使用したLPON電解質とは同程度であるが、成膜の時間が約3/4を節約した。(4)ZnOナノロード構造は、化学成長法により、低コスト・低温で製作されたことが確認できた。しかし、有機・無機ハイブリッド薄膜太陽電池の性能は、僅かに向上することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)薄膜二次電池の開発では、いずれの当初研究の計画目標値(>35uAh/cm2)により上回る電池容量が得られた。 (2)イオン伝導度が同程度で、低コストで成膜できる新規電解質が開発された。 (3)ZnOナノロードの製作を成功し、太陽電池の性能向上が僅かにできたが計画目標値より小さかった。さらなる性能向上が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
(1)太陽電池の開発を集中してさらに希土類色素を導入し、性能向上をはかる。 (2)薄膜二次電池・太陽電池の複合化に関して、同一基板面でプロセスが難しく、積層の技術を利用して本研究の目標を達成する。
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