本研究では、環境発電を活用するためのフレキシブル薄膜二次電池・太陽電池の複合エネルギーデバイスを開発する。(1)薄膜二次電池の開発では、現有の技術で正電極LiMn2O4薄膜と負電極Nb2O5薄膜の膜厚さの最適化により、薄膜電池の容量は、約40uAh/cm2まで向上した。基板の両面に薄膜二次電池の積層により、薄膜二次電池の容量は、最大70uAh/cm2が得られた。(2)正極LiCoO2薄膜を用いた薄膜二次電池の開発では、異なる温度で熱処理したLiCoO2薄膜をXRD評価により、熱処理温度500℃では単一ピーク(104)の配向薄膜が得られた。電気化学特性の評価により、500℃で熱処理したLiCoO2薄膜は、放電容量と安定性とも良い結果が得られた。製作された薄膜二次電池の放電容量は、約45uAh/cm2で、600サイクルの後約36uAh/cm2であり、非常に安定サイクル特性を示している。(3)新規電解質の開発ではLiSiPOを各条件の下で成膜し、LiSiPO薄膜の表面形状・イオン伝導度の評価から、スパッタ電力80Wで一番良い薄膜が得られた。イオン伝導度は、LiPON電解質薄膜と同程度であるが、成膜の時間が約3/4を節約した。(4)太陽電池の開発では、ZnOナノロードは、低温・低コストで制作されたことが確認できた。製作された有機・無機ハイブリッド太陽電池の性能は、僅かに向上することが出来た。(5)複合エネルギーデバイスの開発では同一基板上に製作が非常に困難で、積層技術を利用して製作できた。(6)複合エネルギーデバイスの間の充放電テスト実験では、TIのBQ25504キットを利用し、太陽電池による薄膜二次電池を充電することができた。
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