研究課題/領域番号 |
26340106
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
笠原 伸介 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (90309170)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 砂ろ過 / 濁度 / pH / 水質変動 |
研究実績の概要 |
本研究では、低コストで維持管理の容易な水処理技術が求められる小規模施設への適用を想定し、洗浄設備を含めたシステム全体の簡素化を実現する砂ろ過法として、設計指針の規定範囲を下回る珪砂(以下、微細珪砂)を採用した浅層・小型砂ろ過システムの開発を行っている。 今年度は、考案した砂ろ過システムによる水処理の安定性を評価するため、一定薬注率で操作された砂ろ過層に対し、流入濁度またはpHを一時的に変動させる一連の負荷変動ろ過実験を行った。微細珪砂をろ層厚10 cmに充填したろ層および一般的な急速ろ過砂をろ層厚60 cmに充填したろ層において、粒径別微粒子数が各々どのように推移するかについて比較検討した。 その結果、(1) 0.5~1 μmの微粒子レベルは、いずれの珪砂を用いても流入レベルに連動して速やかに変動し、砂ろ過プロセスによって緩衝されないこと、(2) 1~5 μmの微粒子レベルは、一般的な急速ろ過砂では流入変動に伴って速やかに変動したのに対し、微細珪砂では緩やかに変動し、後者においては流入変動に対する高い緩衝能を有していること、(3) 微細珪砂の場合、ろ層熟成後は極力低いろ過速度(120m/d以下)で運用することが、5 μm以上の微粒子レベルの漏出を抑制し、水質安定性を保持する上で重要であること、(4) 流入pH変動に対しては珪砂の種類にかかわらずほぼ同等の緩衝効果が得られることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度は、理想的な条件下でろ過性能を評価し、ろ層厚やろ過速度などの基本的な設計諸元を明らかにした。その上で、今年度は、理想的な諸元で設計されたろ層を用いて流入負荷を一時的に変動させた一連の実験を行い、突発的に凝集不良が生じた際の本ろ過法の水質安定性、ひいては本ろ過法における維持管理上の優位性を示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
ろ層の洗浄・再生方法についての検討を本格的に開始する。予備的に検討した結果をふまえ、水逆洗および機械撹拌併用洗浄に重点を置き、効果的な洗浄手法の構築と洗浄メカニズムの解明を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末(3月中旬)に学会出張があり、その旅費金額が確定しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
実験資材または器具購入のための消耗品費に充当する。
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