研究課題/領域番号 |
26340108
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研究機関 | 釧路工業高等専門学校 |
研究代表者 |
川村 淳浩 釧路工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (20596241)
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研究分担者 |
井田 民男 近畿大学, 理工学部, 教授 (70193422)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 木質バイオマス / クリンカー / バイオコークス / 木質ペレット / 燃焼 |
研究実績の概要 |
バイオマス固形燃料を使用する家庭用ストーブなどの小型燃焼機器では、クリンカー形成の問題から、燃料として利用可能な原料の種類や組成が狭い範囲に限られており、これらの普及を阻む大きな要因となっている。本研究は、これらの問題の解決に向けて、高灰分組成の木質ペレット(比重0.55)と同じ原料から同サイズ(φ8程度)のバイオコークス(比重1.4)を製造し、市販の燃焼機器を用いた燃焼比較実験を通して、燃焼状態の違いによるクリンカー形成機構の違いを探ることを目的としている。 a)直径φ6の小径バイオコークスを製造するため、粉砕した木質ペレットの粉末の水分量を調節して成型器に詰め、一定荷重(62~63kgf)を加えながら電気炉で加熱(180℃,2分間)し,室温程度まで冷却することで製作した。出来上がった燃料の長さ、直径、質量から比重1.4程度になったことを確認した。 b)市販の木質ペレット焚きストーブを改造した燃焼比較実験機を用い、定格燃焼量(1.65kg/h)において、木質ペレットの専焼実験(1時間、6時間)とバイオコークスとの混焼実験(1時間)をおこなった。後者では、6分毎にバイオコークスを3個投入し、合計30個の投入を行った。定常運転移行1時間後に運転を停止し、燃焼室内に残った残渣物の状態を確認した。燃焼排ガス組成は、排出ガス温度が安定した状態で計測した。この結果、木質ペレットではクリンカーが比較的容易に形成されたのに対し、バイオコークスとの混焼では燃焼灰の減少が認められた。 c)報告書の作成と成果報告:得られた知見をまとめ、国内外の学会での講演発表(国内3件、国外1件)と論文投稿(国内1件査読あり)をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
a)灰分組成の異なる小径バイオコークスの製造:平成26年度と灰分組成の異なる3種類の木質ペレットを調達し、これらを原料として小径バイオコークスを製造した。 b)燃焼比較実験機の改造(火格子の再検討):平成26年度の予備実験結果をもとに、最大炉床負荷や燃焼空気配分の異なる火格子を製作(改造)した。 c)組成の分析とクリンカー形成機構の違いを探る実験・解析・考察:原料の組成の定量分析を外部の試験機関に依頼した。複数種類の原料から成る木質ペレットと小径バイオコークスを用いて、灰分組成(燃料種別)をパラメータとする燃焼比較実験をおこない、炉内圧力、排ガス組成、排ガス温度、消火後の燃焼灰生成の状態、及びクリンカー形成の状況から、クリンカーの形成機構の違いを探った。 d)報告書の作成と成果報告:得られた知見をまとめ、国内外の学会での講演発表(国内3件、国外1件)と論文投稿(国内1件査読あり)をおこなった。
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今後の研究の推進方策 |
a)小径バイオコークスの製造:小径バイオコークスの製造に多くの手間と時間がとられるため、可能な範囲で製造する。 b)クリンカー形成機構の違いを探る実験・解析・考察:灰分組成が比較的多い原料から成る木質ペレットと小径バイオコークスを用いて、灰分組成(燃料種別)、火格子種別をパラメータとする燃焼比較実験をおこない、炉内状況、排ガス組成、排ガス温度、燃焼過程の赤外線画像、消火後の燃焼灰生成の状態、及びクリンカー形成の状況から、クリンカーの形成機構の違いを探る。 c)報告書の作成と成果報告:得られた知見をまとめ、国内外の学会での講演発表と論文投稿、及び釧路工業高等専門学校地域振興協力会等での報告をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
調達した木質ペレットの組成分析(総発熱量、水分、灰分、各種元素)は、交付申請当初から外部の検査機関に依頼する計画であったが、費用の支払い処理が平成28年4月となったために次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の理由により、平成28年4月に支払い処理が実施される。
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