研究課題/領域番号 |
26340110
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
林 清忠 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター農業経営研究領域, 上席研究員 (40355475)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ライフサイクルアセスメント(LCA) / 意思決定 / トレードオフ / 食料生産 / 持続可能性 |
研究実績の概要 |
本年度は、まず、食料生産と環境のトレードオフと関わる研究領域(LCAならびに意思決定分析を含む)において、既往研究のサーベイを行った。その中で、近年研究が進展しつつある分野として、LCAの枠組みでの土地利用の生物多様性への影響評価を取り上げ、実際の企業活動の影響評価を行う上では地域区分の程度が粗いこと、種数面積関係に基づいて影響評価を行う現在の方法によっては管理強度(集約度)が十分に扱えないこと等を示した。 また、森林から農地への転換に関する現地調査を実施した。第1に、インドネシア南スマトラにおけるオイルパームプランテーションへの転換を対象とし、プランテーション、プランテーション内部の森林、隣接する保全林を比較することにより、土地利用変化の影響を検討した。具体的には、生物多様性の比較評価を行うため、音響データを現地でのレコーディングにより収集し、音響的複雑性指標等を暫定的に求めることにより、音響的多様性の違いを示した。第2に、インドネシア北カリマンタン(カヤンデルタ・フードエステート)において、森林から水田への転換過程を調査した。転換時期に応じて水田の状態は異なっていたが、水稲収量が土壌条件に大きく依存している状況が示された。中部カリマンタンにおけるメガライスプロジェクトのような失敗事例を分析する方法の必要性も示された。 さらに、関連するライフサイクルインベントリ(LCI)データの収集ならびに作成を行った。インドネシアオイルパーム研究所の協力の下、オイルパームに関するLCIデータの収集と作成を行うとともに、水稲作、さらには肥料等の農業投入財に関するLCIデータの収集と作成を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年間の研究計画において、平成26年度は、「既往文献のサーベイとフレームワークの精緻化」、「食料生産システムの現地調査と資料収集」、「インベントリデータの作成」の3つの研究項目に取り組む計画であった。平成27年度以降、「影響評価および統合化手法の開発」および「持続可能システム構築に向けた事例分析の総括」の2つの研究項目が加わる予定である。 上述のように、平成26年度に取り組む予定であった3つの研究項目については、ほぼ予定通りの進捗状況となっている。したがって、「(2)おおむね順調に進展している。」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に取り組む研究項目は、「食料生産システムの現地調査と資料収集」、「インベントリデータの作成」、「影響評価および統合化手法の開発」の3つであり、平成28年度には、「持続可能システム構築に向けた事例分析の総括」が加わる予定である。平成26年度の取組みにより、土地利用変化が生物多様性に与える影響を評価するLCAの枠組み(インベントリデータの構造ならびに影響評価手法)を再検討する上で、音響的多様性概念の活用が有効であることが示されたため、平成27年度以降、「インベントリデータの作成」および「影響評価および統合化手法の開発」の一環として、同概念にさらなる検討を加える計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額5,607円は、研究費を効率的に使用して発生した残額である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、次年度に請求する研究費とあわせて、調査旅費の一部として研究計画遂行のために使用する。
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