研究代表者のこれまでの研究成果を基盤とし,緑地整備とコンパクトシティ誘導施策の導入を考慮し,わが国の地方広域都市圏において,GISとリモートセンシング技術を併用することにより,詳細な空間スケールで都市密度評価を行うことを目的とした.まず平成26年度には,(1)本研究の研究調書の内容を基に,研究の構成と手順を確立した上で予備調査を行った.(2)研究代表者のこれまでの研究成果を基盤として,評価の枠組み及び評価方法を開発するとともに,(3)解析評価で利用する電子地図データベースを構築した.平成27年度には,(1)GIS等を利用して都市密度評価を行い,(2)評価結果の分析・考察を行うとともに,評価結果とこれまでの研究成果を基に,国内外の大都市圏や地方広域都市圏との比較を行うことにより,研究対象地域の都市密度分布の特性を把握した.具体的には昼夜間人口密度,市街地等の面積割合,建物密度,建蔽率・容積率などを都市密度評価指標として,緑地量との関連性に着目して詳細な空間スケールで解析し,特に郊外部では農地や森林等の他の緑被地分布との近接性も考慮して,中心部からの距離帯ごとに都市密度評価を行った.平成28年度には,(1)評価結果を総括した上で,研究代表者のこれまでの調査結果と本研究成果等を踏まえて改善策を提言し,(2)研究成果を取りまとめて国内外の学会での研究発表,研究論文の投稿を行い,今後の研究課題を抽出した.GISとリモートセンシング技術により,各地方広域都市圏内の都市密度を詳細な空間スケールで把握し,これまでの国内外での調査結果と研究成果等を基に,主に中心部の都市密度が高い地域では緑地整備方策に加えて都市環境保全対策等,郊外部の都市密度が低い地域では都市の郊外化・スプロール化抑制などのコンパクトシティ誘導施策等の都市・地域計画制度上の導入可能な改善策を地区単位で具体的に提言した.
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