研究課題/領域番号 |
26340115
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
阿部 新 山口大学, 国際総合科学部, 准教授 (30436745)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 静脈産業 / 廃棄物 / 自動車リサイクル / 資源循環 |
研究実績の概要 |
本研究は,循環資源貿易と静脈産業の形成の構造を解明し,途上国を中心とした循環資源の輸入国における静脈産業の育成について議論を進める. 平成27年度においては,まず,日本の1960年代,70年代の使用済自動車市場における産業構造,流通構造および環境問題の構造に関して整理を行い,口頭発表(国際会議含む),誌上発表を行った.具体的には,日本では1960年代後半に大量廃棄社会の受け皿としての大規模の処理業者が形成されたが,既存の中小規模の処理業者と競合し,想定通りの流通構造にはならなかったこと,環境問題に関する制度が十分整備されておらず,それが不適正な流通構造にも関係したことなどを示した.これらを受け,新興国・途上国において,処理業者の整備をする際の課題をいくつか提示した. 次に,これまでデータにより示されなかった中古エンジンの貿易量について検討した.東南アジアの中古エンジンについては統計の整備の問題があること,日本の中古エンジンの輸入国と考えられていたニュージーランドでは輸入よりも輸出のほうが多いこと,輸入国での品質情報管理の課題などが示された. 現地調査については,ミャンマーと中国において,公的な処理業者あるいは認定処理業者が回収している中でインフォーマル業者がどの程度存在しているかを確認した.いずれも制度により使用済自動車を適正に引き渡すインセンティブがあり,ある程度適正に流通していることがわかったが,一時的な制度の下での適正流通であり,持続可能かどうかについては,課題であることが残された.なお,中国は上海大学と共同で調査を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本の経験から現在の新興国等の産業政策の課題を示すことができた.
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今後の研究の推進方策 |
産業政策全般の理論的根拠を踏まえたうえで,産業政策,環境政策の観点からの静脈産業の育成論を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
政治情勢に関連して,研究計画にあったロシア調査をさらに先送りしたため.
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に調査予定であり,現在その準備を進めている.
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